プロピレンからアクロレインへの部分酸化触媒であるシリカ担持ビスマス–モリブデン複合酸化物へのセリウムの添加効果

  • 杉山 茂
    徳島大学大学院社会産業理工学研究部応用化学系
  • 三宅 未珂
    徳島大学大学院先端科学技術教育部化学機能創生コース
  • 吉田 瑞穂
    徳島大学理工学部応用化学システムコース
  • 中尾 友紀
    徳島大学大学院先端科学技術教育部化学機能創生コース
  • 霜田 直宏
    徳島大学大学院社会産業理工学研究部応用化学系
  • 加藤 雅裕
    徳島大学大学院社会産業理工学研究部応用化学系

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Cerium Addition to Bismuth–molybdenum Complex Oxide Catalyst for Partial Oxidation of Propylene to Acrolein

この論文をさがす

抄録

<p>SiO2に担持されたBi–Mo複合酸化物触媒へのCe添加の効果を,プロピレンのアクロレインへの部分酸化について検討した。本研究で検討した触媒は二つの相で構成されおり,SiO2に担持されたMo-酸化物にFe,Ni,Coを導入した格子酸素に対する酸素供給相,およびその周りに担持した反応物からの水素引き抜きを行うBiサイトを持つBi–Mo酸化物の触媒活性相の2相である。本研究では,酸素供給相の酸化還元性を高めるために,酸素供給相にCeを添加した。Ce添加による良好な結果は,酸素リッチの原料ガスを用いた際に観測された。たとえば,P(C3H8)=10.1 kPa,P(O2)=15.5 kPa,T=623 K,通塔時間6時間において,Ceの添加率を0 %から20 %に増加させても,アクロレインの収率は57.6 %から65.3 %へわずかに増加しただけであった。一方,同条件で,P(O2)=31.0 kPaとした酸素リッチの条件では,Ceの添加率を0 %から20 %に増加させると,アクロレインの収率は27.7 %から61.8 %へと約2倍増加した。原料ガス中に酸素を加えずに反応を繰り返した後の触媒のXPS分析により,触媒活性相と酸素供給相の間のユニークな酸化還元挙動が確認され,触媒活性相の格子酸素は酸素供給相から補充されて,触媒活性相表面の状態が維持されることが明らかになった。これらのXPSによる結果と,酸素リッチ状態での酸素供給相へのCe添加の触媒活性への顕著な効果に基づいて,酸素供給相と触媒活性相からなる触媒調製方法の概念が正しいことを明らかにした。</p>

収録刊行物

参考文献 (10)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ