レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用した糖尿病治療薬等からみた医療費の都道府県別地域差分析

  • 黒崎 宏貴
    筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 茨城県厚生連総合病院水戸協同病院初期研修医
  • 吉村 健佑
    千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター

書誌事項

タイトル別名
  • Medical expenses for diabetes care in Japan: Analysis of inter-prefecture differences
  • レセプト ジョウホウ ・ トクテイケンシン トウ ジョウホウ データベース(NDB)オ カツヨウ シタ トウニョウビョウ チリョウヤク トウ カラ ミタ イリョウヒ ノ トドウフケン ベツ チイキサ ブンセキ

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説明

<p>目的 第3期医療費適正化計画では「糖尿病の重症化予防」,「特定健康診査・特定保健指導の推進」,「後発医薬品の使用促進」,「医薬品の適正使用」により1人当たり外来医療費の地域差縮減を目指している。この目標を達成するためには都道府県単位での具体的な取組目標を設定することが重要となる。厚生労働省はレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を構築し公表している。これまでNDBオープンデータを活用して糖尿病医療費の地域差について解析した研究は行われていない。本研究では,NDBオープンデータを活用し,入院外糖尿病医療費について,ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の処方箋料の地域差およびスルホニル尿素薬(SU薬),グリニド薬,ビグアナイド薬,α-グルコシダーゼ阻害薬,チアゾリン誘導体薬の後発医薬品の使用割合の地域差,都道府県別の糖尿病透析予防指導管理料の地域差について解析した。そして,都道府県差が示されている人口当たり糖尿病医療費との相関を解析することで地域差の要因について解析し,地域差縮減に向けたデータを提示する。</p><p>方法 第2回NDBオープンデータ(集計対象:平成27年度レセプト情報および平成26年度特定健康診査情報)を使用した。本研究では,糖尿病についての入院外医療費のみを研究対象とした。NDBオープンデータより各要因を抽出し,人口当たり糖尿病医療費との関係を評価するためにピアソンの積率相関係数rを算出した。相関係数の検定にはStudentのt検定を用いてP値を算出した。P値は0.05未満の場合を有意水準とした。</p><p>結果 人口当たりDPP-4阻害薬処方箋料が高い都道府県では糖尿病医療費が高い傾向にあることが明らかになった(r=0.40, P=0.0048)。また,SU薬の後発医薬品の使用割合が高い都道府県では糖尿病医療費が低い傾向にあることが分かった(r=−0.43, P=0.0023)。糖尿病の重症化予防という点について,糖尿病透析予防指導管理料は糖尿病医療費との相関は認められなかった(r=−0.096, P=0.52)。</p><p>結論 本研究では,NDBオープンデータを用いることで,DPP-4阻害薬処方箋料やSU薬後発医薬品の使用割合に地域差があり,人口当たり糖尿病医療費に関与している可能性が示唆された。本研究により,糖尿病医療費の都道府県差縮小に向けた政策立案にNDBオープンデータが有用であることが示唆された。</p>

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