妊娠早期の胎児診断と胎児医療

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タイトル別名
  • Early prenatal diagnosis and fetal medicine

抄録

<p> 日本では出生数の減少が指摘されるようになり久しいが、2016年には出生数が100万人を割り、2019年の出生数は86万4千人と減少傾向が継続している。また、平均初産年齢も2011年から30歳を越えており上昇傾向にある。このような状況の中で、妊婦からの胎児の健康に対する関心は非常に高いものとなっており、実際の臨床に於いて妊婦から出生前検査についての質問を受けることも多い。</p><p> 一方、2013年に妊娠中の染色体異常に対する出生前検査としてnoninvasive prenatal test (NIPT)が開始された。NIPTは妊娠10週から検査可能な、非常に精度の高いスクリーニングである。そして妊娠女性からの採血検体で実施できる簡便さと、胎児に対しての非侵襲性により、非常に大きな話題となった。その為、出生前検査として受検を希望する妊婦が多く、NIPT認可施設のみでは全ての希望する妊婦に対応できない状況となっている。しかし、医学的な根拠を元に、妥当性のあるNIPTの対象となっている染色体異常は13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーのみであり、これは先天性疾患のうちの一部である。</p><p> また、これまでは妊娠20週前後での胎児の解剖学的な評価が中心であったが、最近の超音波機器の性能向上は目覚ましく、妊娠初期(妊娠11週から妊娠13週)における胎児の解剖学的評価が注目されている。当院では希望する妊婦に対して胎児の染色体異常に対するスクリーニングと同時に腹部超音波検査での胎児の解剖学的な評価を積極的に行うことで、NIPTでは検出することのできない解剖学的異常の検出を試みている。</p><p> NIPTの技術は革新的なものであるが、対象としている先天性疾患は限定的である。従って、超音波検査による胎児の解剖学的評価とNIPTとを組み合わせることにより、出生前検査を胎児検診として位置付けることが出来るのではと考えている。</p><p> 今回のシンポジウムでは当院での妊娠初期に於ける解剖学的評価の精度を発表させて頂くと共に、出生前診断とそこから繋がっていくであろう胎児医療について紹介する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390567172568449024
  • NII論文ID
    130007898489
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_s1-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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