広島湾北西部大野瀬戸における従属栄養性渦鞭毛虫Gyrodinium dominans の急激な増加とHeterosigma akashiwo の衰退

書誌事項

タイトル別名
  • Rapid Increase in Heterotrophic Dinoflagellate Gyrodinium dominans and Decrease in Heterosigma akashiwo in Hiroshima Bay
  • ヒロシマワン ホクセイブ オオノ セト ニ オケル ジュウゾク エイヨウセイウズ ベン ケムシ Gyrodinium dominans ノ キュウゲキ ナ ゾウカ ト Heterosigma akashiwo ノ スイタイ

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説明

有害赤潮プランクトンの衰退には様々な環境要因が関わっているが,中でも摂食者がどの程度寄与したかを現場海域で実際に見積もった報告は少ない.本研究では,広島湾北西部の大野瀬戸で現場観測を実施し,Heterosigma akashiwo が数百cells mL-1まで増加して衰退した5月下旬から6月上旬に従属栄養性渦鞭毛虫Gyrodinium dominans が増加する現象を捉えた.G. dominans の見かけの総成長効率やH. akashiwo に対するG. dominans の摂食量を見積もることによって,G. dominans が摂食者としてH. akashiwo の衰退に寄与した可能性を検討した.炭素換算した現場のG. dominans の増加量はH. akashiwo の減少量の10.4%であった.これは総成長効率(GGE)と考えられ,室内実験でG. dominans について報告されている範囲内であった.既往知見に基づき算出したG. dominans の摂食量および最大餌要求量は,現場で観測されたH. akashiwo の減少量のうち最大で28%および32%に相当した.以上の結果から,広島湾大野瀬戸で観測されたH. akashiwo の衰退にはG. dominans の摂食が寄与した可能性は十分にあると考えられる.即ち,H. akashiwo はG. dominansの摂食が原因で赤潮化できなかった可能性が考えられる.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 58 (1), 1-10, 2020

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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