落雷害研究の現状と展開方向

  • 鈴木 覚
    国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所

書誌事項

タイトル別名
  • A Review of the Current Status and Potential for Lightning Damage Research
  • ラクライガイ ケンキュウ ノ ゲンジョウ ト テンカイ ホウコウ

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説明

<p>本稿では落雷害研究の現状として,地形と落雷・落雷害との関係,樹種と落雷害との関係,並びに単木枯損,集団枯損の被害形態,および被害発生機序についてまとめた。これらの研究の多くは落雷痕跡を落雷害発生の根拠としたものであった。外見上の主観的判断に被害発生の判断を頼らざるをえないことに落雷害研究の根本的な問題があり,落雷先をピンポイントで特定することによって,落雷害研究は大きく進展できると考えられた。また,被害形態と被害発生機序に関しては,幹に裂傷が生じるメカニズムは材の電気抵抗で説明されているが,実証されておらず,また,発煙・発火メカニズムはいくつか考えられるが特定されていない。樹木への落雷過程を解明することによって,被害発生機序を特定・実証できると考えられた。落雷位置を精確に特定する技術や落雷過程を記録する技術が一部の研究者によって実用化された。こうした技術が普及すれば,落雷害研究はブレイクスルーを果たせると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 日本森林学会誌

    日本森林学会誌 102 (3), 212-220, 2020-06-01

    一般社団法人 日本森林学会

参考文献 (29)*注記

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