臍部に生じた尖圭コンジローマの1例

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タイトル別名
  • Condyloma acuminatum in the umbilical region
  • サイブ ニ ショウジタ セン ケイ コンジローマ ノ 1レイ

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抄録

55歳,男性.初診5か月前から臍部に黒褐色の乳頭腫状結節が出現し徐々に増大した.他院で脂漏性角化症の診断で治療を開始されるも改善を認めず,当科を受診した.臍部に直径10 mmの黒褐色で乳頭腫状の結節があり,病理組織学的に表皮の角化細胞の核周囲に空隙のあるコイロサイトーシスの所見である.抗 human papillomavirusモノクローナル抗体免疫染色はK1H8,4C4ともに陰性であったが,in situ hybridizationでHPV6/11型プローブが陽性となったため尖圭コンジローマと診断した.結節に対して電気焼灼,液体窒素凍結療法を施行した.活性型ビタミンD3軟膏やイミキモドの外用も併用し,3か月で消褪した.尖圭コンジローマは性感染症であり,陰部や肛門周囲に好発する.それ以外の部位での発生例は少なく,我々が調べ得た限りでは臍部の尖圭コンジローマの報告はなかった.臍部の皮膚腫瘍としては,脂漏性角化症や基底細胞癌,転移性皮膚癌などが鑑別に挙がるが,尖圭コンジローマを鑑別に挙げることはない.しかし,自験例のようなケースもあり,診断,治療,感染予防の啓発のために報告する.

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