対向車線内での車両衝突における意図的な死亡事故

  • 大澤 資樹
    東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
  • 吉村 翔平
    東海大学医学部基盤診療学系法医学領域 第三管区海上保安本部
  • 長尾 涼子
    東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
  • 垣内 康宏
    福知山公立大学地域経営学部医療福祉経営学科
  • 垣本 由布
    東海大学医学部基盤診療学系法医学領域

書誌事項

タイトル別名
  • Intentional fatal vehicle collisions with oncoming traffic
  • 症例研究 対向車線内での車両衝突における意図的な死亡事故 : 法医剖検例の検討
  • ショウレイ ケンキュウ タイコウシャセン ナイ デ ノ シャリョウ ショウトツ ニ オケル イトテキ ナ シボウ ジコ : ホウイ ボウケンレイ ノ ケントウ
  • Survey of forensic autopsy files
  • 法医剖検例の検討

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抄録

諸外国では全交通関連死亡の数%が意図的な事故であり、とくに普通乗用車が大型貨物車と衝突した場合には、自殺に相当する可能性が高いとされる。本調査では、道路上で対向車線に進入し、進行してきた車両と衝突した事例を集めて、意図的な事故がなかったか、東海大学医学部基盤診療学系法医学領域における法医解剖例を後ろ向きに検討した。17年間(2002〜2018年)に、交通事故死亡者の剖検数は193件あり、自転車を除いた道路利用者として運転手は81件であった。さらに、対向車線に進入し、対向車と正面衝突を起こした事故は11件あった。それらのうち、1件は目撃もあり自殺と判断され、3件はうつ病薬の服用、大量の飲酒、薬物乱用を伴っており、意図的な事故が疑われた。これら4件は、40ないし50代の男性3名、女性1名で、運転車両はいずれも普通乗用車で、衝突を受けた側の車両は、普通乗用車が1台、ワゴン車が1台、トラックが2台であった。今回の検討から、衝突事故の中に意図的なものが含まれる可能性を再認識できた。交通を利用した自殺を交通事故に加えている外国があるのに対して、わが国では交通統計に含まれず、データが示されたことはない。交通事故死亡者数が減少するなかで、運転中の自殺と病死の相対的な割合が増加しているとされる。わが国も同様の傾向にある可能性があり、意図的な衝突かどうか詳細に検証していく必要がある。

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