高齢者世帯の貯蓄ゼロ割合に係るシミュレーション

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タイトル別名
  • Simulation on Zero Savings Ratio of Elderly Households

抄録

超高齢化社会の到来とそれに伴う定年退職後の生活年数の延伸という未経験の社会構造の変化に直面するなか、高齢期に生活維持困難な状態に陥る世帯の割合を把握することは、生活保護費用などの社会保障財源確保の観点からも重要である。また、2019年5月に金融審議会市場ワーキング・グループから報告された「高齢社会における資産形成・管理」をもとに、資産形成についての議論が活発となっている。 本稿は現役世帯の世帯主が70歳、80歳、90歳を迎えたときの資産額を就業形態別にシミュレーションし、資産が生存中に枯渇する蓋然性を算定することを目的とする。資産が生存中に枯渇する蓋然性を示す指標として資産余命および貯蓄ゼロ世帯割合という概念を提示する。 その結果、貯蓄ゼロとなる世帯は80、90歳時点で全就業形態世帯の2割弱と推計される。いいかえると、8割の就業形態の世帯は貯蓄ゼロにはならず、資産を次世代に相続している。一方で、貯蓄ゼロとなる世帯については、資産余命は平均余命より16年~29年と大幅に短いことが見込まれる。併せて、一般的に算定されている貯蓄ゼロ世帯割合は、年齢の上昇に対しフラットあるいは減少傾向であるのに対し、本稿の試算による指標値は増加傾向にあることが明らかになった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390567172583138944
  • NII論文ID
    130007919852
  • DOI
    10.18961/seikatsukeizaigaku.51.0_29
  • ISSN
    24241288
    13417347
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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