『塩の道』成立の自然史的背景

書誌事項

タイトル別名
  • Natural Historic Backgrounds for“ the Shionomichi (Salt Road)”
  • 『塩の道』成立の自然史的背景 : 姫川峡谷の形成プロセス
  • 『 シオ ノ ミチ 』 セイリツ ノ シゼンシテキ ハイケイ : ヒメカワ キョウコク ノ ケイセイ プロセス
  • Formative Processes of the Himekawa Gorge, central Japan
  • 姫川峡谷の形成プロセス

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抄録

海岸と内陸を結ぶ長距離輸送は近世までの日本における重要な事業の1つであり、岩塩資源が欠如しているためにとくに塩の輸送は必須であった。この論文の目的は、本州中央部の内陸にある松本と北岸の糸魚川の間の120kmを連絡していた『塩の道』の路線選択基準を解明することにある。測地学的、地形学的および地質学的解析によって、『塩の道』北部が日本海沿岸部の海岸山地を横切る先行谷を通過していることが解明された。古代~中世の古道は、先行谷に断続する4つの峡谷のすべてを迂回して山麓を通っていた。近世の道は、土木技術の発達によって2つの峡谷を通過することが可能になった。現代の国道(148号)はすべての峡谷を通過し、路線の距離と起伏が最小化された。したがって、課題とした“基準”は、距離がより短く、起伏がより小さく、そして、路線上の集落から必要な便宜が供給されるように、交易路が選択されてきた点にある。このような観点が、道路遺産としての『塩の道』と沿線の自然景観の保全・活用に些かでも役立つことがあれば幸いである。

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