ウシの体外発育胚と体内発育胚の定量的形態解析

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  • Quantitative morphological analysis of bovine <i>in vitro</i> and <i>>in vivo</i> embryos

抄録

<p>【目的】ウシ体外発育胚(体外胚)移植は,近年では商業的にも広く利用されている技術であるが,過剰排卵処置によって回収された体内発育胚(体内胚)よりも体外胚の移植受胎率は低い。この低受胎の一要因として,ウシ体外胚は体内胚と比較して光学顕微鏡下で黒く観察され,良質胚の選別が難しいことが挙げられる。我々はこれまでに光干渉断層撮像(OCT)システム(SCREENホールディングス製)を用いて,ウシ体外胚の内部構造を含む形態を 3 次元画像として構築し,胚の構造を多項目で定量化するイメージングシステムを報告するとともに,撮像した胚を移植して受胎例を得た。本研究では,ウシの良質胚選別指標を見出す目的で,体外胚と体内胚を OCT システムで撮像し,内部構造を含む形態を定量化し,作出方法の異なる両胚間で比較した。【材料および方法】実験には常法に従い作出したウシの体外胚と体内胚を供し,ともに受精後 7 日目に拡張胚盤胞期胚まで発育し,透明帯(ZP)の厚さの平均値(平均厚)2.0–7.5 μm の胚のみを用いた。胚を OCT システムで撮像した後,3 次元画像から内細胞塊(ICM),栄養外胚葉(TE),胞胚腔および胚全体の体積を含む 22 項目について定量化し,各項目において体外胚と体内胚を比較した。【結果および考察】ZP の平均厚,ZP の厚さの中央値,ZP の体積,胞胚腔の体積,胚全体の体積および胞胚腔の平均径において,供した体外胚と体内胚の間で有意な差は認められなかったことから,供した胚の発育ステージは両胚間で大きく異ならないと考えられた。その上で,ICM 体積,TE 体積,ICM + TE + ZP 体積,ICM 平均厚,ICM 厚さの中央値,ICM 厚さの最大値,TE 平均厚,TE 厚さの中央値および TE 厚さの最小値においては,体外胚の方が体内胚よりも高値であった(p<0.05)。本研究において,体外胚と体内胚の間で差の認められた項目は,両胚間の受胎率の差に反映されている可能性が考えられ,ウシの良質な体外胚を選別する際の形態的指標となる可能性が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390567172588067200
  • NII論文ID
    130007925728
  • DOI
    10.14882/jrds.113.0_p-109
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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