広汎型重度慢性歯周炎患者に対しリグロスを用いた歯周組織再生療法を行い, 包括的歯科治療を行った1症例

DOI
  • 須藤 瑞樹
    東北大学大学院歯学研究科 口腔生物学講座 歯内歯周治療学分野

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タイトル別名
  • A Case Report of Comprehensive Periodontal Therapy Using REGROTH for Generalized Severe Chronic Periodontitis

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抄録

<p> 目的 : 広汎型重度慢性歯周炎患者に対して, 垂直性骨欠損部位にリグロスを用いて歯周組織再生療法を行い, 上顎前歯部の審美障害および臼歯部咬合を回復させた包括的歯科治療を行った症例を報告する.</p><p> 症例 : 患者は62歳女性. 歯周病が進行したため, 専門的な治療を希望し来院した. 全顎的に多量のプラーク, 歯石の沈着を認め, 辺縁歯肉および歯間乳頭歯肉の発赤・プロービング時の出血を認めた. 4mm以上の歯周ポケットは76.3%で, 特に上顎前歯部および43には6mm以上の歯周ポケットが認められ, 広汎型慢性歯周炎Stage Ⅳ, Grade bと診断した. 17・27・24・25, 34・35・36, 46・47に欠損部があり, 17・27以外にはインプラントによる補綴がされていた. X線上では全顎的に軽度水平性骨吸収が存在し, 21・23・26に歯根破折を認め, 43遠心には垂直性の骨吸収像を認めた. 歯周基本治療後の再評価で4mm以上のポケットが残存した43・44部位には歯周外科手術を行った. 垂直性骨吸収を有する43は術前の歯周ポケット深さが5mm, 術中の骨欠損の深さは5mmで3壁性の骨欠損であったため, リグロスを用いての歯周組織再生療法を行った. 歯周組織の安定後, 最終補綴を装着し, 再評価後にSPTへ移行した.</p><p> 成績 : 現在歯周組織はPCR値を含めて安定している. 歯周組織再生療法を施行した部位はデンタルX線上で垂直性骨欠損部の骨の新生が認められ, 歯周ポケットも2mmと安定しており良好な経過が得られている. また患者は2019年6月から高血圧症によりカルシウム拮抗薬を服用しているため, 歯肉増殖症に対して注意深く観察していく必要がある. 本症例は良好な経過を経ているが, 今後も引き続き残存歯・インプラントに対してプラークコントロールを行い, 注意深いSPTが必要であると考えられる.</p><p> 結論 : 本症例では3壁性の垂直性骨欠損にリグロスを併用して, 良好な歯周組織再生を得ることができ, 現在でも長期に安定した状態を維持することができている. 歯周外科手術において, リグロスを用いた効果的な歯周組織の再生が示された1症例となった.</p>

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