北大西洋亜極域の鮮新統上部―更新統下部の珪藻:2. <i>Eupyxidicula atlantica</i> sp. nov.

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  • 林 辰弥
    九州大学・比較社会文化研究院・地球変動講座
  • 大野 正夫
    九州大学・比較社会文化研究院・地球変動講座

書誌事項

タイトル別名
  • Diatoms in upper Pliocene–lower Pleistocene sediments, subpolar North Atlantic: 2. <i>Eupyxidicula atlantica</i> sp. nov.
  • Diatoms in upper Pliocene-lower Pleistocene sediments, subpolar North Atlantic(2)Eupyxidicula atlantica sp. nov

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抄録

<p>北大西洋亜極域の鮮新統上部―更新統下部から新種の珪藻Eupyxidicula atlanticaを記載した。この新種の栄養殻は半球形であり,内部に唇状突起を備えた管状突起や,五点形に配置された大きな小箱胞紋,および殻套に単純な外部開口を備えた唇状突起を持つ。休眠胞子は,殻上に散在する唇状突起を追加で持つ。管状突起はEupyxidicula属の種を分ける上で最も重要である。Eupyxidicula atlanticaでは,1つ(たまに2つ)の管状突起が殻の中心に垂直に見つかり,その中央部にフック,先端部にはノッチを持つ。管状突起のこれらの特徴は,E. atlanticaの細胞群体の連結が,Eupyxidiculaの別種,例えば,多くの管状突起を殻面/殻套境界に持つE. turrisE. nipponicusよりも,弱かった可能性を示唆する。Eupyxidicula atlanticaは,その独特な管状突起だけではなく,胞紋の内側の多孔師板によっても現存種のE. turrisE. nipponicus, E. palmerianaから区別できる。Eupyxidicula atlanticaの多孔師板は胞紋の六角形の床に限定されるが,現存種の多孔師板は殻の中心から縁にわたって連続的に分布する。化石種では,Stephanopyxis apiculataE. atlanticaに似ており,どちらの種も殻の中心に管状突起を持つ。ただし,E. atlanticaとは対照的に,S. apiculataはフックとノッチ構造の無い管状突起を0~4本持ち,その長さは殻の湾曲の程度に依存している。</p>

収録刊行物

  • Diatom

    Diatom 36 (0), 35-45, 2020-12-25

    日本珪藻学会

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