人体研究に基づく傷害低減技術の開発

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タイトル別名
  • Technological Development to Reduce Injuries Based on Study of Human Skeleton

抄録

<p>交通事故による死亡重傷者を低減するには,適切な着座姿勢保持と乗員拘束が重要である。重傷化リスクが高い腹部傷害には,この2要素が関係する。乗員の着座姿勢は個体差を有し,シートベルトによる乗員拘束に影響を与える。本研究は,実際の乗員姿勢の個体差を骨格視点から把握し,人体の骨格や内臓を模擬したFEシミュレーションモデル(以下,人体FEモデル)を用いて衝突時の乗員挙動を分析した結果を基に,傷害防止に必要な技術を構築・商品化することを目的とした。自動車シート着座時のX線撮像による脊椎形状と骨盤状態の個体差解析から,着座姿勢は脊椎S字と後弯の2タイプに大別されることが分かった。骨盤については,ラップベルトが掛かる上前腸骨棘(anterior superior iliac spine: ASIS)形状やそこから恥骨結節までの距離のばらつきを分析し,個体差を反映させた人体FEモデルを作成して,そのモデルによる乗員挙動解析から骨盤角度のコントロールが最も重要であることを導き出した。これらの結果から,MAZDA3ではシート着座時に骨盤を立て,その状態を保持できるシートを開発した。また,ベルトがたるみなく骨盤に掛かりシート位置に依らずその状態を維持できるシート内蔵式シートベルトラップアンカー構造とした。更にニーエアバッグの採用により,衝突時の乗員前進を抑制するシートベルトの乗員への入力を分散させ,人体耐性の高い部位での乗員にやさしい拘束を可能とした。これらの構造を設計し,安全安心な「人間中心」のクルマづくりを実現した。</p>

収録刊行物

  • マツダ技報

    マツダ技報 37 (0), 50-56, 2020

    マツダ株式会社

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390568456338328960
  • NII論文ID
    130007959119
  • DOI
    10.34338/mazdagihou.37.0_50
  • ISSN
    21863490
    02880601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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