ルリアリなどのアリ類に対する殺虫剤の効果

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タイトル別名
  • Effects of Insecticides on Ochetellus glaber and Other Species of Ants
  • ルリアリ ナド ノ アリルイ ニ タイスル サッチュウザイ ノ コウカ

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抄録

<p>ルリアリOchetellus glaberは関東地方以南に分布するアリで,ここ十数年で北限が北上しつつあり,さらに近年各地で生息域が広がり,個体数が増加しつつある状況にある。建物内にもよく侵入し,食品に群がるほか,電気機器や紙製品,段ボール等の隙間や狭い空間に好んで侵入して営巣する。そのため混入異物や体液などによるシミ汚染の原因となりやすい種である。</p><p>アリの巣(コロニー)を駆除する薬剤として遅効性で他個体にも成分が伝搬されるフィプロニル(フェニルピラゾール系)のベイト剤やFL剤が有効であることが知られているが,ルリアリに対してピリプロールFL剤がフィプロニルFL剤と同等またはそれ以上の効果があることが示唆された。また建物の周辺部を除草して餌資源および生息環境を減少させ,アリが建物に近寄らない環境を作ることも有効である。特に殺虫および忌避成分を配合した除草剤「ムシクリン®防虫除草シャワー」の散布は効果的である。屋外におけるアリのモニタリングにはアリ用粘着トラップ「LCインジケーター」を設置すると良い。</p><p>建物内におけるアリ類の防虫管理は,侵入の早期発見と早期駆除が重要である。物理的および環境的な対策によってアリが生息しない環境を維持し,モニタリングによって常に侵入を監視する。アリが屋内で発生した場合には,対象種を正しく同定して薬剤を選定することが重要である。ルリアリに対してはサフロチン乳剤が最も効果が高く,続いてスミチオン10FL,ビフェントリン水性乳剤の効果が高いことが判明した。他の多くのアリ類に対してはサイベーレSCも効果的であり,忌避効果も高いため侵入防止にも効果的である。</p><p>簡便に使用できるエアゾール剤としては,ビフェントリンを有効成分とするエアゾール剤「ムシクリン®アリ用エアゾール」が速効性に優れていることが確認された。また忌避効果も高いため,侵入が疑われる建物の外周部などに噴霧処理することによって侵入を防ぐ効果も期待できる。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 74 (10), 1003-1008, 2020

    紙パルプ技術協会

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