細胞内で標的選択的に共有結合を形成するプロドラッグ

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  • 吉岡 広大
    理化学研究所ケミカルバイオロジー研究グループ

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抄録

制御された細胞死は生体の機能を正常に保つうえで重要である.そのような細胞死の1つとしてフェロトーシスがあり,この機構の破綻は様々な疾患との関連が報告されている.そのため,フェロトーシス誘導は新たな治療戦略として期待されており,フェロトーシスを抑えるタンパク質glutathione peroxidase 4(GPX4)に対する阻害剤はその一手と成り得る.既知のGPX4阻害剤の多くは,RSL3やML162など共有結合性の反応基であるクロロアセトアミド構造を有する化合物である.これらは,GPX4の活性中心にある求核性のセレノシステインを標的とする共有結合性阻害剤であるが,クロロアセトアミドの高い反応性が原因で標的選択性に課題があった.一方で,一見すると共有結合性の反応基を有さないML210もGPX4阻害剤であるが,その作用機序は不明であった.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Weïwer M. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 22, 1822-1826(2012).<br>2) Yang W. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 113, E4966-E4975(2016).<br>3) Eaton J. K. et al., Nat. Chem. Biol., 16, 497-506(2020).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 57 (2), 147-147, 2021

    公益社団法人 日本薬学会

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