病理解剖で診断しえた,ST上昇型急性心筋梗塞に伴う心破裂後に胸骨圧迫にて生じた心膜・横隔膜破裂の1例

DOI
  • 奥山 虎章
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 藤井 真也
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 宇野 剛輝
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 永吉 信哉
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 宮本 敬史
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 中島 崇智
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 武藤 誠
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
  • 清水 禎彦
    埼玉県立循環器・呼吸器病センター 病理診断科
  • 吉村 道博
    東京慈恵会医科大学内科学講座 循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of pericardium and diaphragm rupture due to chest compression after cardiac rupture caused by ST elevation acute myocardial infarction, which diagnosed by autopsy

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抄録

<p> 78歳女性.ST上昇型急性心筋梗塞の診断で,緊急冠動脈造影を施行し,責任病変である左前下行枝第一対角枝の完全閉塞に対し,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行し,薬剤溶出性ステントを留置した.PCI後,順調に心臓リハビリテーションを施行していたが,退院直前の第6病日,一般病棟にて突然心肺停止となり,心肺蘇生を施行した.急変直後,心肺蘇生中の心エコーでは,心破裂を示唆する心嚢液貯留を認めなかった.自己心拍が再開しなかったため,体外式膜型人工肺(VA-ECMO)を導入した.原因検索のため施行した造影CTでは,左血胸,後腹膜血腫を認めたが,心嚢液貯留や大血管損傷の所見もなく,原因不明のまま同日死亡した.病理解剖を施行し,左室自由壁の心破裂を認め,直接死因と判明した.さらに,心膜破裂,横隔膜破裂も認め,これらにより,血胸,後腹膜血腫を呈したため,心嚢液貯留がほとんどみられず,生前の心破裂の診断に難渋したと考えられた.心破裂に伴う出血により,心嚢や左胸腔の内圧が上昇し,心肺蘇生時の胸骨圧迫による過度の圧負荷が加わったことで,心膜破裂,横隔膜破裂に至ったと推察された.胸骨圧迫の影響で心膜破裂,横隔膜破裂を合併した報告は非常に稀であり,また同時に合併した報告はない.胸骨圧迫に伴う稀有な合併症により診断に難渋した心破裂の1例を経験したので,文献的考察とともに報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 51 (12), 1311-1316, 2019-12-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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