遺伝統計学による関節リウマチのゲノム個別化医療

  • 岸川 敏博
    大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学 大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 岡田 随象
    大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 免疫統計学

書誌事項

タイトル別名
  • Genomic precision medicine of rheumatoid arthritis by statistical genetics

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説明

<p> ゲノム研究の進展は目覚ましく,世界各国で国家プロジェクトが進むなど大規模化が生じている.近年では研究成果を病態解明や創薬へと導く活用方法が模索されており,いよいよゲノム個別化医療時代が到来しようとしている.ヒト白血球抗原(HLA)はその代表的なものであり,例えば,一部のHLA遺伝子型は薬剤重症副作用リスクを有するため,薬剤投与前の遺伝子型検査が推奨されている.我々は,関節リウマチに関して,従来の古典的HLA遺伝子に加えて,非古典的HLA遺伝子が疾患リスクを持つことを同定した.また,非線形モデルによる機械学習によって,日本人集団のHLA遺伝子型が11パターンの組み合わせで構成されることを解明した.ゲノムワイド関連解析(GWAS)の個別化医療への応用においては,GWASで同定した疾患感受性一塩基多型に基づいて,将来的な疾患発症を予測する研究が報告されつつある.我々のグループは国際バイオバンク67万人の情報を解析することで,健康長寿バイオマーカーの同定に成功した.こうした個人の遺伝的リスクの指標を既知のリスク因子と統合して評価し,高リスク群を同定することで,予防医療の推進が期待される.関節リウマチの個別化医療としてはマイクロバイオームも注目されている.我々はショットガンシークエンスを用いたメタゲノムワイド関連解析によって,関節リウマチ患者由来の腸内微生物叢の特徴を明らかにした.</p>

収録刊行物

  • 臨床リウマチ

    臨床リウマチ 32 (4), 310-317, 2020

    一般社団法人 日本臨床リウマチ学会

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