P-2-D15 シンボルシート不成功例の一考察

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説明

はじめに 発話不明瞭のため、音声言語での意思伝達が困難であった症例に対し、シンボルシート(以下、シート)を導入したが、日常への般化が進まなかった。その原因を検討し考察を加え報告する。 症例情報 A氏 33歳 男性。診断名:脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)、てんかん。 評価 横地分類はC1、遠城寺式乳幼児分析的発達検査で言語理解4:0、言語表出は発話明瞭度3〜4、発話意欲は高い。意思伝達は主に発話で行い視線、指さし、表情で訴えることも多い。 目的 意思伝達の補助手段としてシートを使用し生活に般化させ、より良い意思伝達を図ることを目的とした。 介入方法 シート内容を検討し、質問応答形式を行い使用の定着を図った。その後、生活場面での使用回数を評価した。シートは、生活で頻繁に使うと思われる10個のシンボルを1シートとし、電動車椅子テーブル上に設置し、指さしにて行うよう指導した。介入期間は約3カ月間であった。 結果 シンボルは○と╳(YES NO)、上下矢印(車椅子背もたれ角度)、パソコンとカメラ(今使いたい物)、怒った顔、痛い顔、足と臀部(痛い部位)、0から10の数字(日付)、の10種類である。よく使ったのは○と╳、パソコンとカメラの4種類でほかの6種類はあまり使わなかった。 考察 6種類のシンボルが不成功であったのは、痛みの程度と部位が複雑であること、上下矢印の意味理解ができなかったこと、怒った感情は表情で表現したほうが簡単確実であること、等が影響したものと思われた。テーブル上は症例にとって自分の世界であり、好きな絵やシンボルを置きたい気持ちが強い。したがって症例の好むキャラクターとシンボルを組み合わせるような工夫が必要と思われた。

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