左下腿に皮下腫瘤を生じた <i>Exophiala jeanselmei</i> による黒色菌糸症の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Phaeohyphomycosis with a Subcutaneous Cyst on the Left Lower Leg Due to <i>Exophiala jeanselmei</i>
  • 左下腿に皮下腫瘤を生じたExophiala jeanselmeiによる黒色菌糸症の1例
  • ヒダリ カタイ ニ ヒカ シュリュウ オ ショウジタ Exophiala jeanselmei ニ ヨル コクショク キンシショウ ノ 1レイ

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抄録

<p>67 歳, 男性。初診の約 3 カ月前より左下腿屈側に皮下腫瘤を自覚し,その後増大し当科を受診した。 初診時には左下腿屈側に 50×50 mm の表面平滑で淡い紅色の皮下腫瘤を認めた。MRI 検査所見から神経鞘腫や血管腫が疑われたため全摘出術を行う予定であった。手術中,腫瘍性病変がはっきりせず膿汁の流出があったため,組織提出とともに各種培養を提出し,肉眼的に炎症を伴っている組織の周辺の正常組織を含めて可及的に切除した。組織では膿瘍形成と PAS 染色および Grocott 染色で連珠状の胞子と有壁性の菌糸を認めた。ポテトデキストロース寒天培地にて,黒色で灰色菌糸に覆われた糸状菌様の巨大集落を形成した。リボゾーム RNA 遺伝子の ITS 領域の解析の結果 Exophiala jeanselmeiE. jeanselmei)と同定され,E. jeanselmei による黒色菌糸症(Phaeohyphomycosis)と診断した。追加の治療としてイトラコナゾールを 3 週間投与した。その後 1 年以上再発は認めていない。基礎疾患は軽症の糖尿病のみであったが,趣味に植木の剪定があり,外傷により土壌もしくは植物片からの感染を起こしやすい状況であったと考えた。外傷を受けやすい趣味や職種を持ち,免疫低下が想定される高齢者に皮下腫瘤を認めた場合には,黒色菌糸症を含めた真菌感染症も考慮すべきである。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 83 (1), 42-45, 2021-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (2)*注記

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