O-2-G40 難病のある子どもへの自宅訪問型学習支援の検討

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抄録

目的 重度の障害や難病のある子どもたちの中には、種々の理由により外出の機会が制限される場合がある。外出制限は、子どもたちの遊び・学びの機会が制限されるという点で発達に及ぼす影響は大きい。本報告では、就学前の子どもに対して、筆者らが実施した自宅訪問型学習支援の効果について報告を行う。 対象と方法 対象児(以下、A)は、先天性骨形成不全症の診断を受けている。遠城寺式乳幼児分析的発達検査表による評価では、移動運動は7カ月、手の運動については3歳水準と判定された。社会性については、基本的習慣が2歳水準、対人関係は、27カ月水準と判定された。言語領域は、言語理解が4歳水準、発語は3歳水準であった。学習指導は2週間に1回の頻度で実施した。指導期間は6カ月間であり、全指導回数は10回であった。指導場面は、Aの自宅の居間でAと保護者、筆者と大学生がいる状況で実施した。学習指導は、体調確認等を行った後、45分間の学習指導を実施した。指導内容は、Aの発達水準と実態、そして保護者の願いを考慮して、タブレット端末を用いたひらがな学習やかずの学習等を実施した。 結果 指導期間を通して、Aのひらがな学習の成果(看板などに書いてある文字を読むこと、自分の名前を口にしながら、ペンを動かすこと)が報告された。また、Aが指導者達の訪問を期待し、自ら予習的な学習活動に取り組んでいることも確認された。 考察 定型発達において「ひらがな」や「かず」は計画された学習指導を要することなく、日常生活における他者との交流、身体を通した体験の蓄積により自然に修得が進んでいく。この点に困難さを抱えやすい難病や重度の障害のある子どもたちについては、就学前の段階から訪問型学習支援を活用し、意図的・計画的に学習指導を進め、学齢期の学びにつなげていく必要があると考える。

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