O-2-G41 知的および重度の身体的障害を重複して有する成人患者の医療:Universal approach

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  • 本荘 哲
    独立行政法人 国立病院機構 福岡病院 小児科

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抄録

背景 Population−basedあるいは全国多施設からの系統的データの裏打ちは充分ではないが、「重症心身障害者」を含めて、知的および重度の身体的障害を重複して有する成人患者の医療は、1)標準的医療へのアクセス、2)evidence−based medicineの適用、3)小児医療から成人医療への移行において、一般患者の医療との間に格差が存在すると思われる。また、「重症心身障害者」という語句が、医療者側に「原疾患が根治不能」、「患者とのコミュニケーションが困難」などのnegative connotationを与えて、診療が遅滞したりすることがあると推測される。 目的と対象 演者の所属施設に入院中の「重症心身障害者」に対しては、1)に関する取組として、市町村の提供する乳がん検診受診支援を2011年から実施し、これまで7名に対して支援を行ってきた。また、便潜血陽性あるいは下血した患者8名(内経管栄養4名)には、専門家による大腸内視鏡検査を提供した。一方、2007年以降大腸がん1名、乳がん1名、胆管細胞がん1名、精巣腫瘍1名、皮膚がん1名の、がん罹患があったが、当初よりがん医療専門病院あるいは専門家による診療を円滑に受けることが出来たのは、3名であった。3)に関する取組としては、小児科医以外の主治医としての内科医の参加、他施設の小児外科、消化器外科、乳腺外科、整形外科、泌尿器科、婦人科の協力による診療の提供に努めてきた。 考察 「重症心身障害者」としての肯定的区別ばかりでなく、重複障害を有する成人患者へのuniversalなアプローチを検討することが、障害者の医療への臨床各科の参入を円滑にすると考えられた。 謝辞 共同研究者:福岡病院小児科、同内科。近隣の医療施設の診療援助に深謝いたします。研究費:国立がん研究センター研究開発費26−A−30。

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