P-124 頚椎の姿勢変化が頚椎周囲筋に及ぼす影響~肩甲骨と下顎に着目して~

DOI
  • 小出慧
    IMS(イムス)グループ 明理会中央総合病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【目的】 頚椎と姿勢との関係を示す文献は多数あり、姿勢保持に対する頚椎の姿勢は重要なものと言える。その為、頚椎の姿勢変化による頚椎周囲筋の緊張の変化は、頚椎に連なる筋に大きく影響するのではと考えた。本研究では頚椎の姿勢変化が肩甲骨と下顎の運動に及ぼす影響を検討した。</p><p>【方法】 対象は健常成人14 名(年齢24.1±2.7 歳)とした。測定肢位は背臥位での頚椎正中位と、頚椎の、a.右上・下位側屈、b.左上位・右下位側屈、c.左上・下位側屈、d.右上位・左下位側屈とした。各肢位にて片側ずつ肩甲骨外転動作と開口動作を自動運動で3 回ずつ行った。各最終域をデジタルカメラにて撮影し、その写真から肩甲骨外転角度と下顎の側方偏移量をimageJ にて解析し平均値を算出した。統計処理はwilcoxon の符号付順位検定、対応のあるt 検定を用い有意水準5%にて行い、正中位と各4 肢位とのそれぞれの差を検討した。対象者には研究の主旨を説明し同意を得た。また当院の倫理委員会の承認を得た。</p><p>【結果】 肩甲骨外転角度では、a.b の両側とc.d の左側おいて下位頚椎側屈方向に対し有意に同側は大きく、対側は小さくなった。また下顎の側方偏移量もa.b.d にて有意に下位頚椎側屈方向に大きくなった。肩甲骨外転c.d の右側、下顎のc の項目では有意差は見られなかった。</p><p>【考察】 下位頚椎を側屈させる前・中斜角筋と、肩甲骨外転筋である前鋸筋はどちらも第一肋骨に付着する。その為、下位頚椎側屈により同側斜角筋郡の緊張が緩和し第一肋骨への挙上方向の力が弱まることで、前鋸筋の肩甲骨外転作用が強まり可動域が拡大すると考えた。また開口動作に作用する舌骨下筋郡のうち3 つの筋が第一肋軟骨に連なっている。その為、上記同様に下位頚椎側屈に対し同側舌骨下筋郡の作用が強まり、下顎が同側方向へ偏移すると考えた。これにより、下位頚椎側屈による第一肋骨への張力の強弱が、肩甲骨、下顎の運動に影響することが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390568838434534528
  • NII論文ID
    130007997669
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_308
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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