クマノザクラの保全と適切な利用に関する指針の提案

書誌事項

タイトル別名
  • The proposal of guideline concerning preservation and appropriate utilization for Kumano cherry, <i>Cerasus kumanoensis</i>
  • クマノザクラ ノ ホゼン ト テキセツ ナ リヨウ ニ カンスル シシン ノ テイアン

この論文をさがす

抄録

<p>クマノザクラは,2018年に発表されたサクラの野生種である.紀伊半島南部の奈良県・三重県・和歌山県に分布し,カスミザクラに近縁と考えられている.新発見の話題性に加え,花の観賞価値が高いことから,その利用が大きく期待されている.ただし,野生集団の保全のためには適切に利用しなければならない.そこで,分布調査と関係者への聞き取り調査の結果から,保全と利用に関する問題点を検討した.クマノザクラの保全に関するもっとも深刻な問題は,‘染井吉野’やオオシマザクラなど開花期が重なる外来のサクラによる遺伝子汚染と繁殖干渉と考えられた.また,苗木の拡散による遺伝子攪乱や,知識不足による誤利用なども懸念された.そこで,自生地の保全と地域性苗木の生産・利用,地域住民による啓発活動を柱とする指針を提案する.また,地域性苗木の生産・利用を促進するためには,産地情報などを表示するトレーサビリティ苗木を利用することが効果的と考えられた.一方,野生種には多様な変異が見られるので,優良な形質や病害虫に強い個体を選抜する育種が,永続的な利用に重要と考えられた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ