O-060 家族介護力別にみた脳卒中患者の自宅退院を予測する入院時ADL 自立度-JARD 多施設登録 データを用いた分析-

DOI
  • 佐藤惇史
    八千代リハビリテーション学院 理学療法学科
  • 藤田貴昭
    東北福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科
  • 山本優一
    公益財団法人仁泉会 北福島医療センター リハビリテーション科

抄録

<p>【目的】回復期リハビリテーション病棟で重要な役割となる対象者の自宅復帰は、対象者自身の日常生活活動(ADL) 自立度に加え、家族の介護力にも依存すると考えられる。本研究の目的は脳卒中患者において、入院時から自宅復帰の可否を予測し得るADL 自立度のカットオフ値を、家族の介護力別に算出することである。</p><p>【方法】対象は、「日本リハビリテーション・データベース協議会」の脳卒中回復期病棟版に登録された4949 名のうち、選択基準を満たし、欠損値、異常値を示すものを除外した1574 名とした。除外基準として、死亡、急変や胃瘻造設による転科、発症前より施設などの自宅以外で生活していた者とした。分析は、従属変数を自宅退院の可否、独立変数を入院時Functional Independence Measure(FIM)としたReceiver Operating Characteristic(ROC)解析を、家族の介護力無し、介護者1人、介護者2人以上の対象者および全対象のそれぞれで行った。</p><p>【結果】介護力なしが75 点(AUC0.84、感度74%、特異度82%)、介護者1 人が62 点(AUC0.84、感度69%、特異度88%)、介護者2 人以上が48 点(AUC0.82、感度71%、特異度84%) 、全対象が56 点(AUC0.81、感度76%、特異度74%)であった。</p><p>【考察】自宅退院の可否を分ける入院時ADL 自立度は家族の介護力によって変化すること、および定量的な基準を示すカットオフ値が明らかになった。同カットオフ値は自宅退院を見据えたADL 向上の具体的数値目標の設定に活用できると思われる。</p><p>【まとめ】自宅復帰可否に関する脳卒中患者の入院時ADL 自立度のカットオフ値は家族の介護力によって変化する。</p><p>【倫理的配慮】本データは、日本リハビリテーション医学会研究倫理審査会で、疫学調査の倫理指針に照らして倫理上の問題がないと確認されている。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390568838437657344
  • NII論文ID
    130007997579
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_60
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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