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Improvement of Educational Environment and <i>Chiri-Sogo</i> (Geography) in Tokyo Metropolitan High School
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- Kobayashi Masato
- Tokyo Metropolitan Office of Education
Bibliographic Information
- Other Title
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- 都立高校における教育環境の整備と地理総合
Description
<p>1.はじめに</p><p></p><p>高等学校では、令和4年(2022年)度から必履修の「地理総合」が始まる。これまでの経緯を少し振り返ってみよう。平成元年(1989年)告示の高等学校学習指導要領で、社会科が地理歴史科と公民科に分かれ、世界史が必履修、日本史と地理はいわゆる選択必履修になった。平成11年(1999年)告示の高等学校学習指導要領では、「総合的な学習の時間」、「情報」が新設され、平成14年(2002)年には完全学校週5日制が実施された。これに伴い、各校では総単位数を削減した教育課程を編成することになり、地理を学校必履修から自由選択にする、あるいは設置しないなどの動きが散見されるようになった。加えて都立高校では、平成24年(2012年)度から日本史必修化が始まっている。</p><p></p><p>2.地理の教育環境について</p><p></p><p>本発表では、このような状況の中で、都立高校の地理がおかれている教育環境について、2点に着目して報告する。</p><p></p><p>1点目は都立高校の地理を専門とする教員の環境である。都立高校の地理の開講状況(令和2年(2020年)12月全都立高校のHPを閲覧)は、全都立高校190校235課程のうち、地理A又は地理Bを教育課程表に位置付けている課程の割合は、73.2%、地理A又は地理Bを学校必履修として位置付けている課程の割合は61.3%であった。</p><p></p><p>地理歴史教員数は、東京都教育委員会発行の令和2年度公立学校統計調査報告書【学校調査編】によれば、660名。そのうち世界史を専門とする教員数は254名(38.5%)、日本史を専門とする教員数は272名(41.2%)である。地理を専門とする教員数は134名(20.3%)で、地理歴史教員数の5分の1、必履修の世界史よりも120名少なくなっている。</p><p></p><p>都立高校教員の年齢構成比は、50代以上が全体の4割を占め、この10年間が大量退職の時期となるが、東京都教員採用候補者選考の「中学校・高等学校共通、社会(地理歴史)」の令和2年度の受験者数はこの9年間で半分、倍率は9年間のピークの15.1倍から約3分の1に低下している。</p><p></p><p>以上から必履修になる「地理総合」の担当教員は、中期的には、歴史を専門とする教員の自然減に伴い、地理を専門とする教員をより多く採用することになるが、短期的には、地理を専門とする教員とともに、歴史を専門とする教員も相当数が担当することになると予想される。</p><p></p><p>次に東京都教育委員会では、新学習指導要領の実施に向けて、東京都教育研究員高等学校地理歴史部会、東京都研究開発委員会高等学校地理歴史・公民部会で、実践研究を行っている。10名程度の教員が年間10回程度の部会を開き、研究テーマを決めて各科目の実践研究を行い、発表をしている。この3年間の報告書を見ると、問いの工夫、学びのプロセス重視の授業設計、学習評価の充実がポイントになっているが、その実践は容易ではないことが伺える。</p><p></p><p>2点目は都立高校のICT環境である。都立高校の現在のICT環境と令和4年(2022年)度に向けた整備について説明する。この整備が進めば、生徒一人一台常時接続体制でクラウド型学習支援サービスを利用する環境が整うことになる。ブラウザベースの地理院地図、Google Earth、ひなたGIS、RESAS地域経済分析システム等は、円滑に動くことが予想される。ここで申し上げたいことは、2単位の「地理総合」で、「見る、探す」から「調べる、表現する」へ発展させるために、小作品でよいので各段階で作品を完成させる作業的・体験的時間を年間授業計画に必ず盛り込むことである。紙地図では時間が足らずできなかったことがデジタル地図では可能になる。ICTを活用して作業的・体験的学習を効率的に行うことが肝要である。</p><p></p><p>3.「地理総合」の実施に向けて</p><p></p><p>「地理総合」は、持続可能な社会づくりを目指し、環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課題を考察する科目として新設された。「2.」を踏まえると、その実施の方向性は、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた、教えやすく学びやすい「地理総合」を指向することである。それはシンプルだが地理を学ぶ意味や意義、地理の面白さなどが明確で、地図や資料を使いこなし、持続可能な社会の創り手になることが期待できる「地理総合」である。鍵は、シンプルさと主題的方法の徹底にある。その上で、明確なゴール(目標)、地理的な見方・考え方に基づく分かりやすい問い、学びのプロセスを重視した授業設計、パフォーマンス評価、優良事例の周知が必要となろう。</p>
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2021s (0), 109-, 2021
The Association of Japanese Geographers
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390569000754907136
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- NII Article ID
- 130008006547
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed