市町村別データを用いた住宅地地価の形成要因分析

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タイトル別名
  • Analysis of factors affecting residential land price by municipality:
  • Focusing on the effects of regional income disparity and household density
  • 所得の地域格差と世帯密度の影響に注目して

説明

<p>近年の地価動向は三大都市圏で2014年以降上昇に転じたが、地方圏では長期下落に歯止めがかからない。地価の推移は経済活動の指標であり、その二極化現象は地域経済活動の格差拡大を反映していると考えられる。地域格差の把握には、「水準の地域間格差」と「規模の地域間格差」という概念の区別が重要である。前者は人口や世帯当たりの所得額の地域的不均等、後者は人口や世帯の地域的偏在と集中によって表される。</p><p>本研究では、収益還元法の考え方をもとに、市町村を単位として住宅地の地価形成要因をクロスセクション分析する。個別土地の期待収益を地域別に集計したものを土地生産性と呼ぶならば、地域の平均的な地価は面積当たり土地生産性によって定まると考えられる。上述の地域格差概念に対応させれば、土地生産性は世帯当たり所得の「水準の格差」(居住者の地価負担力)と面積当たり世帯数の「規模の格差」(土地利用強度)に分解しうる。</p><p>2013年と2018年の地価公示データから市町村別に住宅地地価の平均値を求め、2つの要因が各年次の地価分布にどう影響しているか重回帰分析を用いて検証した結果、両要因によって変動の約79%を説明できた。地価形成に与える世帯所得の影響は世帯密度より大きく、その影響力はどちらも強まっている。直近の地価の二極化現象は、人口や所得の東京一極集中と地方圏における人口減少と経済的衰退の結果を反映したものと考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390569000755393024
  • NII論文ID
    130008006579
  • DOI
    10.14866/ajg.2021s.0_123
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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