平常時の避難行動意図の規定要因について

  • 宇田川 真之
    公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 人と防災未来センター
  • 三船 恒裕
    高知工科大学 経済・マネジメント学群
  • 磯打 千雅子
    香川大学 四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 地域強靭化研究センター
  • 黄 欣悦
    東京大学学際情報学府
  • 定池 祐季
    東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター
  • 田中 淳
    東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Determinants of behavioral intention of tsunami evacuation
  • ヘイジョウジ ノ ヒナン コウドウ イト ノ キテイ ヨウイン ニ ツイテ

この論文をさがす

抄録

<p>災害危険時の避難に対して、災害前の平常時における避難行動の意図が影響するものと想定し、その規定要因を考察した。その際、避難行動に類似する健康予防行動や環境配慮行動の分野で用いられている計画的行動理論や修正防護行動理論などの社会心理学的なフレームにおいて、リスク回避行動に寄与すると想定されている心理要因を整理考察した。そして、平常時の避難行動意図の規定要因として「リスク認知」「効果評価」「実行可能性(自己効力感)」「主観的規範」「記述的規範」「コスト」の6つの認知要因が寄与するものと仮定した。</p><p>仮定した心理要因の、平常時における避難行動意図に対する寄与の有無等を検証するため、災害事例や地域特性などに依らない汎用性の高い心理的な設問項目を津波避難行動意図の場合を例に作成した。また、こうした心理要因を規定する、個々の地域特性や回答者属性に依存する先行要因を測定する項目も作成し調査票を構成した。これらの設問項目を用いて、高知県南国市で質問紙調査を実施し、仮定した6要因の構造を分析した。その結果では、「効果評価」「実行可能性」と解釈される要因は確認されたが、「主観的規範」と「記述的規範」、および、「リスク認知」と「コスト」の分別が困難であった。</p><p>今後、明らかになった設問等の留意点を踏まえて、提案した避難行動意図の決定過程のフレームを改善し、避難というリスク回避行動を特徴づける共通性を把握するとともに、個々の災害事例や地域特性ごとの避難行動の特徴を明瞭にするための手法を確立することをめざしていく。</p>

収録刊行物

  • 災害情報

    災害情報 15 (1), 53-63, 2017

    日本災害情報学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ