産前産後女性に対する子育て支援事業の取り組み

DOI
  • 大丸 利沙
    公益社団法人 鳥取県中部医師会立 三朝温泉病院 リハビリテーション科

抄録

<p> 私の所属する鳥取県中部医師会立三朝温泉病院は,「安心・安全で良質な医療を提供し,常に地域から信頼される病院」を理念とし地域住民の健康増進に関わる活動に力を入れている。病院のある鳥取県東伯郡三朝町は鳥取県中部の山間地に位置し,人口約6500人,高齢化率36.2%,年間出生数25人(平成30年度)といわゆる過疎高齢化地である。その中で,平成27年3月より町の子育て支援事業(三朝町版ネウボラ=妊娠期から就学前までの切れ目ない子育て支援)の一環として,産前産後女性に対し理学療法士の専門性を活かした関わりを行っている。</p><p> 具体的には産前から産後にかけて4つの活動があり,事業を始めた時系列に沿って以下に示す。</p><p>・平成27年3月~ 町の開催する産前教室での講話と集団体操【名称:ウェルカムBaby教室】</p><p> (内容) 妊娠後期の妊婦を対象にマイナートラブルの対処法や産後ケアの必要性についての講話を行い,妊娠後期に実施可能な腰痛予防体操や骨盤底筋体操を指導する</p><p>・平成27年10月~6ヵ月健診での母親の体調についての相談事業【名称:6ヵ月健診】</p><p> (内容) 6ヵ月健診に参加した母親を対象に現在の体調について個別相談(症状に合わせた体操・育児動作指導,抱っこ紐の調整など)を受ける</p><p>・平成29年6月~ 産後に病院で受ける産後ケア【名称:産後ケア健診】</p><p> (内容) 保健師による新生児訪問が終了した母親を対象に,自己負担金1000円で当院の整形外科医による診察と理学療法を提供する</p><p>・平成30年6月~ 赤ちゃん教室での集団体操【名称:ねんねクラス】</p><p> (内容) 子育て支援センターで開催される1歳までの赤ちゃんと母親が対象となる子育て教室で産後の腰痛や肩こりなどの症状を改善するための体操を指導する</p><p> 平成27年開始当初は勤務時間内に個人で時間休を取得し,ボランティア活動として関わっていた。平成29年度より三朝町の委託事業として活動できるようになり,産後ケア健診事業が始まったことを機にリハビリテーション科内でウィメンズヘルス理学療法に興味をもつ者で【ウィメンズヘルスチーム】を結成した。この時点では産後ケア健診の対応は私が主となり行っていたが,7月に自身の第2子妊娠が分かり,急速にチーム全体の知識や技術力の向上を図る必要に迫られた。具体策として産後ケア健診の対応を2名体制とし,問診・評価の流れや実際の治療を一緒に経験し,月一回のミーティングでは症例検討を行った。また,各個人が研修に赴き,チーム内での共有を図った。平成30年度より全事業をチームで分担できるようになったが,産後ケア健診の受診率の低さや健診時に指導した運動が継続されていない事,町外在住の産後女性のニーズへの対応などの課題は残っている。</p><p> 病院内・外を問わず,産前産後に関わる理学療法士が増えている一方で,日本における産前産後リハビリテーションに関するデータは少ない。今回は,三朝町6ヵ月健診における母親の体調に関する相談事業および当院で行っている産後ケア健診のデータから分かる産後女性の理学療法ニーズについて報告する。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 47S1 (0), A-13-A-13, 2020

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報

  • CRID
    1390569015604908928
  • NII論文ID
    130008010232
  • DOI
    10.14900/cjpt.47s1.a-13
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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