物理定数から見た日本の新第三紀花崗岩類

  • 大熊 茂雄
    産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門
  • 金谷 弘
    故人(元産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)

書誌事項

タイトル別名
  • Physical properties of Neogene granitic rocks in Japan
  • ブツリ テイスウ カラ ミタ ニホン ノ シン ダイサンキ カコウガンルイ

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抄録

<p>日本列島を構成する基盤花崗岩類の物理的性質を明確にするため,これまでジュラ紀,白亜紀–古第三紀花崗岩類の物理定数に関する研究を行ってきたが,今回は新第三紀花崗岩類について同様の研究を行った.新第三紀花崗岩類は北は北海道の脊梁部から南は屋久島,石垣島に到る日本列島全体に分布し比較的小規模岩体が多く,ある程度の大きさの露出面積を示すのは甲府,丹沢,屋久島花崗岩である.従って今回は,甲府・甲斐駒ヶ岳花崗岩そして秩父・丹沢花崗岩を中心に西南日本外帯の岩石について記載を行った.取り扱った試料数は210個であった.</p><p>結果は以下のようである.</p><p>平均密度は南九州(薩摩半島・大隈半島)花崗岩の2.62g/cm3から室戸岬花崗岩の2.96 g/cm3に到る.また平均孔隙率はほぼこれに逆比例して0.29 % から1.94 %を示す.平均磁化率は南九州・屋久島花崗岩の2 × 10-4(SI)および5 × 10-4から潮岬花崗岩の5 × 10-3,室戸岬花崗岩は10-2,甲府・甲斐駒ヶ岳花崗岩の2 × 10-2および3 × 10-3,越後湯沢・和田峠・那須花崗岩の3 × 10-2,秩父・丹沢花崗岩の4 × 10-2である.これらに各々の岩質を加味して判断すると南九州・屋久島花崗岩と潮岬花崗岩は弱・常磁性,室戸岬花崗岩は中磁性,甲府・甲斐駒ヶ岳花崗岩は中,強磁性,越後湯沢・和田峠・那須岳花崗岩そして秩父・丹沢花崗岩は強磁性である.</p><p>密度と自然残留磁化(NRM)の相関は丹沢花崗岩以外見られない.Qn比(Königsberger ratio)は潮岬・室戸岬花崗岩と屋久島花崗岩を除き0.4 以下である.</p>

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参考文献 (14)*注記

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