-
- 大森 淳郎
- NHK放送文化研究所
書誌事項
- タイトル別名
-
- Series: War and Radio [Part VI] As an “Advocate” for National Policies
- 戦争とラジオ(第6回)国策の「宣伝者」として : アナウンサーたちの戦争(後編)
- センソウ ト ラジオ(ダイ6カイ)コクサク ノ 「 センデンシャ 」 ト シテ : アナウンサー タチ ノ センソウ(コウヘン)
- Announcers' War (vol.2)
- アナウンサーたちの戦争(後編)
この論文をさがす
抄録
前編では「淡々調」の誕生と、日中戦争期におけるその位置づけを見てきたが、後編では「淡々調」が「雄叫び調」に転換してゆく過程を考察する。 「帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」 この、太平洋戦争の開戦を告げる館野守男アナウンサーによる臨時ニュースこそが、いわゆる「雄叫び調」が誕生した瞬間であると、当時から主張されていたし、今日でも定説となっている。しかし、これが事実ではなく、いわば伝説にすぎなかったことは開戦前のアナウンサーたちの発言を注意深く見ていけばすぐにわかる。彼らは日米開戦の危機が迫った1941年夏以降、すでに「淡々調」を否定し、新しいアナウンス理論「雄叫び調」を模索していたのである。「雄叫び調」の誕生をめぐっては、なぜ、事実とは異なる伝説が必要とされたのだろうか。 本稿では、「雄叫び調」が誕生する背景には軍からの強い要望があったこと、アナウンサーたちにとってそれは受け入れがたいアナウンスであったこと、そして軍が要望する文字通りの「雄叫び調」とは異なる「雄叫び調」を生み出したことを論証する。軍の要望を内面化する、そのためにこそ伝説は必要だったのである。 「雄叫び調」は軍が求める「突撃ラッパ」のようなアナウンスではなかった。館野守男は「雄叫び調」を「情熱によって国民を捉え、其の感情を結集し、組織し、之を一定の方向へ動員」するアナウンスと定義した。それは、どんな成果を得たのだろうか。
収録刊行物
-
- 放送研究と調査
-
放送研究と調査 70 (9), 20-41, 2020
NHK放送文化研究所
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390569181328153984
-
- NII論文ID
- 130008025914
-
- NII書誌ID
- AA11207753
-
- ISSN
- 24335622
- 02880008
-
- NDL書誌ID
- 030649343
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可