嵐山ニホンザル集団における非血縁個体による14ヵ月齢の個体への授乳事例

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タイトル別名
  • Breast-feeding by the unrelated individual toward the 14-month-old infant in the Arashiyama free-ranging group of Japanese macaques

抄録

<p>マカカ属のメスザルが自身の子ども以外の子を養子として育てるのは、出産1ヵ月以内のメスが、自身の子が死亡した時に多いことがわかっている。また、自分の子ども以外に授乳することは稀な行動である。本報告では、極めて稀な事例として、嵐山ニホンザル集団(京都市、西京区)における、母が生存している14ヵ月齢の子ザルへの非血縁個体からの授乳事例を報告する。2018年8月8日、Cooper'65'81'94'01 (17歳、以下Co01)が、より高順位個体の子であるKojiwa'62'74'79'90'96'17(14ヵ月齢、以下Ko17)に授乳しているのを発見した。2018年8月時点で、Co01は実子であるCooper'65'81'94'01’16(28ヵ月齢、以下Co16)に対しても授乳していた。また、Ko17は実母Kojiwa'62'74'79'90'96(22歳、以下Ko96)からも授乳されていた。8月中の観察で、Co01からKo17への授乳中の毛づくろい、授乳中にサプラントを受けた際に生起した背中による運搬、腹に抱えての運搬、運搬後の授乳の再開も確認された。そこで、2018年8月31日から同年10月31日の間に22.9時間(Co01:10.6時間、Ko17:12.3時間)の個体追跡を行った。結果、3回の授乳が確認された。Co01からKo17への授乳拒否はなかった。追跡期間に一度だけ、Ko17が実母から授乳拒否を受けた直後、Co01と異なる劣位の非血縁個体の乳房に口を近づけたが、相手個体が逃げて授乳は成立しなかった。追跡期間を通し、Co01は実子のCo16に対して11回の授乳を行った。 またKo17は、実母のKo96から59回の授乳を受けた。 つまり、対象個体間の授乳関係は、実母-実子間のものより希薄だといえる。しかし同時に、対象個体間の授乳は一回のみではなく継続的に行われたこともわかる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390569258153277440
  • NII論文ID
    130008029190
  • DOI
    10.14907/primate.36.0_33_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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