絶滅危惧種の違法取引と大型類人猿のエンターテイメント利用に、専門家としてどう向き合うか

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抄録

<p>日時:2020 年12 月4 日(金)  15:00 ~18:00</p><br><p>形式:Zoom によるオンライン配信</p><br><p>動物福祉や保全への意識が高まる現代においては、野生動物を飼育するうえで、飼育する動物及びその本来の生息地に負担を与えないことが飼育の前提となってきている。しかし、現在でも動物福祉や生息地保全の観点から問題となる事例も存在する。<br>今回とりあげる大型類人猿のエンターテイメント利用と、霊長類のペット取引について、動物福祉・保全の観点から専門家から多くの問題が指摘されてきた。大型類人猿のエンターテイメント利用に関しては、幼少期の不必要な母子分離を引き起こしやすいことや、それに伴い群れ飼育との両立が難しいこと、種本来の行動習得ができなくなることなど、動物福祉の観点から問題点がある。さらに、絶滅危惧種である大型類人猿が擬人化された形で見せられることで、絶滅危惧種としての認識がさがるといった環境教育の観点からも問題が指摘されている。また、ペットのための違法取引が、スローロリスやマーモセット類など野生霊長類の個体数減少に寄与していることが知られている。その取引の現場では動物が死ぬことも多く、人獣共通感染症につながる怖れもある。残念なことに、日本にその多くが輸入されている実態などがあきらかとなっている。こうした問題に対して、研究者個人やそのグループが、その実態を把握したり、問題提起したりするなどを行ってきた。しかし、動物・人の生活や感情が複雑に絡み合うこれら問題について具体的な解決には至っていない。<br>わたしたちは個人として、または専門家の集まりである学会としてこうした問題にどのように向きあい、解決に向けてどのような貢献ができるのだろうか。今回の自由集会では大型類人猿のエンターテイメント利用や霊長類の違法取引に関する近年の動向やそれに対して行った活動について話題提供をしていただく。その後、一般参加者も含めてこれらの問題について議論を行う。霊長類に関する専門家ができる貢献について考える場としたい。</p><br><p>話題提供者<br> 1.松阪崇久(大阪成蹊大学教育学部)・徳山奈帆子(京都大学霊長類研究所)<br> 2.北出智美・成瀬唯(TRAFFIC Japan)<br> 3.徐沈文 ( 京都大学霊長類研究所)<br> 4.Steve Ross (Lincoln Park Zoo)</p><br><p>コメンテーター<br> 林美里(京都大学霊長類研究所)<br> 諸坂佐利(神奈川大学法学部)<br> 白井啓(株式会社野生動物保護管理事務所)</p><br><p>主催:日本霊長類学会保全福祉委員会</p><br><p>責任者:山梨裕美(日本霊長類学会保全・福祉担当幹事)</p><br><p>運営:山梨裕美(日本霊長類学会保全・福祉担当幹事)<br>   徳山奈帆子(京都大学霊長類研究所)<br>   赤見理恵(公益財団法人日本モンキーセンター)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390569258153281536
  • NII論文ID
    130008029234
  • DOI
    10.14907/primate.36.0_6
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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