黄疸の診断と管理

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説明

<p> 新生児黄疸は,日常臨床でよく遭遇する症候の一つで生理的黄疸と病的黄疸があります.新生児期には主に赤血球由来のビリルビン産生が多いことと,肝のUDP-グルクロン酸転移酵素の活性が発達的に低いことなどにより生体内に非抱合型ビリルビン(UCB)が多く蓄積されます(図1).ビリルビンは脂溶性のため,細胞間液を含む血管内では主にアルブミンに結合して分布していますが,皮膚や眼球強膜へのビリルビンの分布が見てわかる黄染となり,それを可視的黄疸とよびます.また,脳への分布はビリルビン脳症の発症に繋がります.黄疸は,ヒトで新生児期のみに生理的に認め,発症経過に人種差があり,生後の適応過程の一環と考えられています.その可視的黄疸は,生後より血中ビリルビン濃度の上昇に伴い発症し,血中総ビリルビン濃度(TSB)が6.0mg/dLくらいから認識されます.その広がり方は,顔面から始まり躯幹,四肢へと広がり,下肢から頭部に向かって徐々に消退していきます.日本人の新生児生理的黄疸は,通常日齢2以降で出現し,約半数が日齢5-6でピークをとります.病的黄疸は鑑別診断や治療を必要とする黄疸です.早発黄疸は生後24時間以内の可視的黄疸と定義されています.早発黄疸では,一般的に高UCB血症を呈し,急性ビリルビン脳症の発症の原因になるため予防が重要です.早発黄疸の客観的評価の補助として経皮黄疸計の使用が有用です.経皮黄疸計と生後時間の経皮ビリルビン濃度(TcB)ノモグラムによる新生児黄疸のスクリーニング管理法が報告されています1).TcBをもとに採血の可否が決定され,採血が必要と判断された場合,TSBまたはアンバウンドビリルビンを測定し,その測定値の評価で光療法や交換輸血による治療介入を決めます.日本で多く利用されている治療介入基準には,「村田・井村の基準」,「神戸大学(中村)の基準」や「神戸大学(森岡)の治療基準」があり,それぞれの施設の事情に合わせて使用されています.</p>

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