赤血球中<i>phospholipase-D</i>活性測定法の構築

  • 河野 弥季
    国際医療福祉大学成田保健医療学部医学検査学科
  • 石田 綾乃
    前 高邦会高木病院検査技術部
  • 外園 栄作
    九州大学大学院医学研究院保健学部門検査技術科学分野
  • 大澤 進
    国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻臨床検査学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Establishment of measurement method for <i>phospholipase-D</i> activity in blood cells
  • 赤血球中phospholipase-D活性測定法の構築
  • セッケッキュウ チュウ phospholipase-D カッセイ ソクテイホウ ノ コウチク

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説明

<p>【目的】飲酒マーカーであるホスファチジルエタノール(PEth)の測定法構築の前検討としてPEth生成に関わる赤血球中ホスホリパーゼ D(PLD)活性を測定する系を構築した。【方法】本反応と内因性コリンの消去反応からなる測定系を構築した。内因性コリンを予めコリンオキシダーゼ(COD)とカタラーゼで消去し,その後酵素活性を測定した。赤血球由来のPLDは基質のホスファチジルコリンを水解し,ホスファチジン酸とコリンを生じる。このコリンにCODを作用させることでH2O2を生成し,ペルオキシダーゼ(POD)で色素と発色させた。PLD活性は速度分析で求めた。【結果】3種類の溶血試料を用いた同時再現性はCVが11.2–12.1%であった。直線性はPLD添加溶血試料を用いて120 U/L程度まで認められた。添加回収率は100 U/L PLDでは94.4%,50 U/L PLDでは84.0%となった。健常者群と疾患群でのPLD活性値の比較では貧血群は低値を,閉塞性黄疸群は高値を示した(p < 0.05)。PLD活性値をヘモグロビン値で除した値は貧血群で健常者群平均値を上回り,ヘモグロビンの値がPLD活性値に影響を与えることを示唆した。【結論】赤血球中PLD酵素活性を測定する系を構築した。本測定法でPLD酵素活性を定量可能であるが精度には課題が残る。今後はPLD酵素活性とPEth生成能の関係の検討が必要である。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 70 (2), 198-204, 2021-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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