がん患者の遺族の悲嘆プロセス -看取りにおける後悔に焦点を当てて-

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タイトル別名
  • Grief Process of Bereaved Families of Cancer Patients –Focus on Regret at the End of Life–

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説明

<p>がん患者の遺族は,死別後看取りの体験を振り返った時に後悔の念を抱き,その後悔は死別の悲しみに影響すると考えられる.そこで本研究では,がん患者の遺族が抱く後悔の内容と悲嘆プロセスにおける後悔への向き合い方を明らかにすることを目的とした.患者の身近で療養生活の世話をしていた遺族11名に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.その結果,後悔の内容は,それらの類似性により〈生き方に関連した後悔〉〈死に方に関連した後悔〉〈関わりに関連した後悔〉の3つに分類できた.悲嘆プロセスにおいて,〈生き方に関連した後悔〉では,【故人がつないでくれた周りの人の支えに気づく】,〈死に方に関連した後悔〉では,【最期の生き方に意味を見出す】,〈関わりに関連した後悔〉では,【思いや役割を引き継げる存在であることに気づく】という振り返りをしていた.これにより,後悔の思いをとらえなおし,喪失の適応に向かう様相が示された.遺族が抱く後悔は,死別,すなわち現実的なつながりが切れたことにより生じるが,振り返りを促す思いであり,とらえなおしにより故人とのつながりを見直すプロセスの重要な一部であった.また,見出された3つの後悔の内容から,とくに医療者が関わるべき重要な後悔は 〈死に方に関連した後悔〉であり,看取り期に後悔にも目を向けたケアの充実の必要性が示唆された.</p>

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