先天性心疾患女性に対する妊娠前相談

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  • Preconception counseling for women with congenital heart disease

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抄録

<p> 重症先天性心疾患を合併した女性が新生児期,乳幼児期,学童期を乗り越え,成人期に到達するケースが増えてきている.適切な時期に妊娠に関する知識・情報を本人やパートナー・家族に提供することの意義は大きい.妊娠前に妊娠に伴うリスクを正しく理解してもらうこと,その理解を家族で共有してもらうこと,共有してもらった理解をもとに納得のいく家族計画をたててもらうことは重要な目的で,その上で挙児を決意される場合,妊娠・分娩・産後経過のイメージングを家族全体でしていただき,様々なイベントを受容する心理的・社会的準備をしていただくことも可能となる.</p><p> リスクを負っても子を産みたいと願う心疾患女性は多い.妊娠のリスクを正しく評価し,正確に患者に伝えて,その上で患者自身の決定を尊重する姿勢が大切である.心疾患にも様々な種類とレベルがある.リスクが過大評価されることで医療側が妊娠出産のチャンスを奪うことは好ましくなく,また心疾患があることで妊娠を諦めるような本人や両親の誤解は解く必要がある.一方で,日常生活が普通に送れていても妊娠に伴って格段のリスクを負うようなケースもあり,非妊娠時の見た目の健康さだけで必ずしも安全だと判断できない.</p><p> その他,薬剤の誤解は多く,妊娠した時の自己休薬に繋がらないよう説明を要する.また,妊娠した時点で多くの人は正期産期の出産しか想像しないが,一部の心疾患患者においては高い早産リスクを有する.予期せぬ未熟児出生が精神的ダメージにならないよう,未熟児出生のイメージングを最初からしてもらうケースもある.</p><p> 重症心疾患患者の心臓イベントは育児期にも起こりやすい.症例に応じて,授乳法や育児法,家族計画のカウンセリングを行う.リスクが非常に高い症例では,産後一定時期以降からの人工乳栄養を勧めることもある.本人の休養が確保されるよう,育児は家族全体で行うものと強く意識してもらう.</p>

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