低位前方切除術後患者が一時的ストーマ閉鎖後に体験する排便障害への立ち向かい方

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  • Coping strategies among patients experiencing defecation dysfunction following closure of a temporary stoma due to a low anterior resection for rectal cancer

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抄録

<p> 本研究の目的は、直腸癌低位前方切除術とともに一時的ストーマを造設した患者がストーマを閉鎖したあとに、排便障害を負ったときの思いと対応の仕方を明らかにすることである。データ収集は、外来通院中の患者5名に半構成的面接を行い、質的帰納的に分析した。結果、見い出された2つの時期において10カテゴリが確認された。初めの【排便障害への対応期】では、ストーマを閉鎖して《元の体を取り戻した安堵》が生じた直後に《排便症状への苦痛》を体験すると、《自己を奮起させる努力》によって気持ちを立て直し、《下痢に応じた生活の工夫》に取り組んでいた。つぎの【癌発病体験の統合期】になり、《生活の楽しみを再開》できるようになると、自らの感情と向き合う者は癌発病以来の体験を振り返り、自己を承認すると《ストーマ手術の受容》にいたり、《健康意識の高まり》も確認された。なかには《癌になった意味の見い出し》にまでいたる者もいた。一方、排便障害にも動揺せずに対応しすぐに《生活の楽しみを再開》した者の根底には《再発に対する楽観視》があり、《健康意識の高まり》もさほどなかった。以上から看護師は、患者の排便障害の捉え方を支援の目安にして、苦痛がある者には《自己を奮起させる努力》を支持して生活の回復を促し自信を高め、動揺せずに楽観視する者には《下痢に応じた生活の工夫》への努力や療養生活の成功体験に着目して承認し、排便障害に取り組み続ける動機づけを培うことが重要である。</p>

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