口腔扁平苔癬から発症し,歯科金属除去後に毛孔性扁平苔癬を合併した 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Lichen Planopilaris After Removal of Dental Metals in a Patient with Oral Lichen Planus
  • コウコウ ヘンペイ タイセン カラ ハッショウ シ,シカ キンゾク ジョキョ ゴ ニ ケアナセイ ヘンペイ タイセン オ ガッペイ シタ 1レイ

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抄録

<p>68 歳,女性。半年前に舌痛および口腔内違和感が生じ,口腔外科にて口腔扁平苔癬と診断され,その後下腿に暗紅色の紅斑が出現した。金属パッチテストで,亜鉛陽性となり,該当歯科金属を除去したところ,数日後より頭皮に瘙痒を伴う脱毛が多発した。初診時,頭部に淡紅色の紅斑を伴う脱毛斑が 9 カ所みられ,病理組織学的に毛包漏斗部および峡部上皮のリンパ球浸潤と周囲間質の線維化および正常毛球の残存を認めた。下腿紅斑は表皮真皮境界部の空胞変性と真皮の帯状リンパ球浸潤の像であった。脱毛斑に対しステロイド局注を開始し,約 2 カ月後に瘙痒と紅斑は改善し,約 8 カ月後に,小型の脱毛斑 2 カ所は治癒した。その後脱毛瘢痕部にエキシマライトを約 1.5 年間照射し脱毛斑はさらに 3 カ所治癒した。口腔粘膜部のびらんや下腿紅斑は出没を繰り返し,初診より 1.5 年後,膣周囲にびらんおよび白色局面が出現し,いずれもステロイド外用を継続中である。自験例は歯科金属除去後に扁平苔癬の一部として毛包性扁平苔癬が生じ,既存の口腔や下腿病変の増悪と膣周囲にも病変が生じた経過が特徴的であった。当院で過去 2 年間のうち金属パッチテスト陽性の扁平苔癬は 15 例あり,年齢は 39 歳から 84 歳までの男性 4 名,女性 11 名で,粘膜型 13 例,皮膚型 1 例,皮膚粘膜毛孔性扁平苔癬型 1 例(自験例)であった。該当金属を除去したのは 4 例で,経過不明の 2 例をのぞき,自験例を含めいずれも症状は改善しなかった。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 83 (2), 120-124, 2021-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (11)*注記

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