遊具からの転落事故における砂材を用いた頭部損傷リスクの軽減

書誌事項

タイトル別名
  • A study of reduction of head injury risk by sand materials in fall accidents from playground equipment
  • ユウグ カラ ノ テンラク ジコ ニ オケル サザイ オ モチイタ トウブ ソンショウ リスク ノ ケイゲン

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抄録

<p>我が国における5-14 歳の幼児や児童が死亡する原因のうち最も多いものは不慮の事故である.その1つとして,公園遊具からの転落事故がある.昨今,公園内での事故の発生後,該当する遊具を撤去して再発防止を図る自治体は多い.一方,幼児や児童の健全な発育を促すには,積極的な運動による身体能力の養成と,転落などの生活上の危険因子に対する学習が必要である.従って公園内にある程度のリスクを残しつつ,致命的な事故を招かない構造の遊具設置が望ましい.そこで滑り台や雲梯などのように高所から転落する可能性がある遊具の地面には,ゴムマットやウッドチップなどの衝撃緩和材を敷設する場合がある.しかし全ての遊具に対して敷設するには導入コストが高く,経済的な困難を伴う.そこで本研究では入手が容易でコストの低い砂材に着目し,砂材による転落時の衝撃緩和効果を明らかにする実験を行った.すなわち,米国安全基準ASTM F1292-09 の G-max とHIC を評価尺度として,簡易型衝撃緩和性能評価装置により測定した.実験の結果,砂材がないグラウンドの地面と比較すると,砂材の厚さが増すに従いG-max およびHIC が示す評価値は低下する傾向を示した.G-max は6cm 程度の砂材の敷設で死亡に至る200G を下回り,HIC は16cm以上の厚さで死亡に至る 1,000を下回ることがわかった.実験により,屋外の公園遊具周辺における 衝撃緩和材として,砂材を用いる有効性が示された.</p>

収録刊行物

  • 人間生活工学

    人間生活工学 14 (2), 45-50, 2013-09-30

    一般社団法人 人間生活工学研究センター

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