自発覚醒トライアルの実践における看護師の意識変化
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説明
【目的】集中治療室(ICU)の人工呼吸ケアでは鎮静薬を使用するが,過鎮静による人工呼吸器装着期間の長期化,リハビリテーションの遅れなどの弊害も認められる.毎日の自発覚醒トライアル(Spontaneous Awakening Trial:SAT)が対策として推奨されているが,当院では十分に定着していない.本研究の目的は,SATに対する看護師の意識を高める介入を行い,その効果と課題を明らかにすることである.【方法】2018年9月~2019年5月に研究同意を得られたICU看護師12名を対象に,アクションリサーチ法を用いて以下の項目を検討した.介入は勉強会の実施と多職種カンファレンスの導入と,4カ月間のSAT実践である.介入前後にSATに関する13項目の独自調査表を用いてアンケート調査を実施し,5段階のリッカート尺度を用いて点数換算し,評価した.各調査項目の前後の点数に対してWilcoxonの順位和検定を行い比較した.【結果】調査得点が高い項目ほどSATの阻害要因を示し,介入前に最も点数が高かった「開始時期がわからない」は,介入後に点数が大幅に減少した.しかし,「事故のリスクが増えそう」「疼痛に対し,鎮静薬を使用している」は,点数が増加した.「実践したことがない」「対象患者に毎日SATを行っていない」「実践方法がわからない」「開始時期がわからない」「SATを行うことに不安がある」の項目に有意差が認められた(p<0.05).【結論】勉強会による看護師の知識の習得と,多職種カンファレンスにおいてSATの妥当性を検討することは,SATに対する看護師の意識を向上させることが示唆された.しかし,安全保持との両立や疼痛評価に関する知識不足などの課題も明らかになった.
収録刊行物
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- 松江市立病院医学雑誌
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松江市立病院医学雑誌 24 (1), 11-17, 2020
松江市立病院
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390569612378576512
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- NII論文ID
- 130008042757
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- ISSN
- 24348368
- 13430866
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可