O-1-C11 重症心身障害児(者)に対する理想的な外科的援助とは?

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抄録

はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))に対する外科的な援助としては、腹腔鏡下噴門形成術(LF)・胃瘻造設術、喉頭気管分離術(LTS)などが代表的なもととしてある。これらは、現在各地で小児外科医が手術をしている。しかし重症児(者)に対する外科的な治療はそれだけではない。理想的な外科的援助とは何か、20年間、重症児(者)と小児外科医として関わり、感じたことを述べる。 症例 1992年に芦北学園で重症児(者)の上部消化管透視をしたのが、重症児(者)と私の初めての出会いである。その後外科的になにが援助できるかと考え、PEGから始めた。1997年からLF・胃瘻造設術を2004年からLTSを始めた。LFとLTSで600人以上の重症児(者)の手術をしている。そのほか、リザーバー装着、気管切開、胃瘻部粘膜脱、停留精巣、気胸、イレウス、胆石、消化管穿孔、大腸がんなどの手術も行っており総症例数は700人以上になる。 考察 重症児(者)も成人になり癌の発生や婦人科の外科的な加療を要する疾患が出ることがある。LFや胃瘻造設、LTSは小児外科医でもできるが、癌や婦人科の疾患は困難であると思われる。私は成人外科の経験があり大腸がんの手術もできたが、すべての小児外科医ができるわけではない。また、私たちは気管腕頭動脈瘻の手術の際には、手術は心臓血管外科医にお願いし、術前術後管理を私たちが協力して行っている。頭部の難治性褥瘡は形成外科医に手術をお願いし、管理は私たちも一緒にした。成人外科医からすると、重症児(者)の手術は、体幹の変形などから手術の困難さを感じさせられ、術前術後の管理も困難と感じると思われる。 まとめ 重症児(者)に対する理想的な外科的治療は、ただ手術をするだけではなく、重症児(者)を診れる小児外科医が、成人外科、婦人科などの成人外科系医と、術前後の管理を含め、協力して加療することだと思われる。

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