呼吸リハビリテーションにおけるIPV(肺内パーカッションベンチレーター:Intrapulmonary percussion ventilator)の有用性
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- 緒方 健一
- おがた小児科内科医院 医療型デイケア かぼちゃクラブ 熊本大学小児科
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説明
当施設は、小児科診療所と小児在宅医療を16年間行ってきた。現在、訪問呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)と医療型デイケアを加えた小児在宅の患児とその家族を支える医療を目指している。小児在宅医療の対象は、15年前は神経筋疾患や溺水などの低酸素脳症後遺症などの児が多く、死因は呼吸不全が大半を占めていた。われわれは、Bachらの神経筋疾患の呼吸リハを導入し、緊急入院や突然死が減ったことを報告した1)。2006年になり、NICUからの周産期関連疾患が増加している。筋の緊張が強い児で、今までの呼吸リハが有効でない例を経験するようになった。特に、酸素吸入を必要とする小児慢性呼吸器疾患の児では、ルームエアーを利用する機械的咳介助機器使用できなかった。そこで、酸素投与と加湿が可能なIPVを導入し神経筋疾患の気道感染症や誤嚥、無気肺に有効であった。今回IPVの呼吸リハでの効果と可能性について検証した。(呼吸の解剖整理と気道クリアランス) 呼吸器系の機能は、空気の通路(気道)と吸入気体の浄化、ガス交換の主に3つである。他に発声、嗅覚、免疫制御、内分泌に関係している。吸入気体は、肺胞に達する前に気道でコンディショニング(加温、加湿、塵肺除去)を受ける。径が数μmのハウスダストなどは、細気管支粘液に捉えられ線毛運動で口側へ移動される。軟骨がない細気管支レベルでは、咳により胸腔内圧が上昇すると閉塞しやすい。したがって、咳による異物の排除は困難で線毛運動に依存している。気管支レベルでは、大きな粒子が粘液に付着する。さらに線毛運動で集まってきた粒子を含む痰が集積し大きくなっていく。大きくなると、線毛運動だけでは排除が困難で咳による排除が必要である。気管や気管支は軟骨により胸腔内圧が上昇してもつぶれにくい。したがって、気管支レベル以上では、異物の排除は咳と線毛運動の両方が機能している。神経筋疾患では、窒息予防のため有効な咳ができない例では何らかの咳介助が必要である。しかし、気管支炎など細気管支レベルの炎症による線毛運動障害では異物排除が困難である。この際、加湿した気流で軟骨がない細気管支を閉塞させないで線毛運動の代用をする機能が必要である。これらの症例に対してIPVを使用し臨床的検討を行ったのでその有用性について述べたい。 略歴 1983年 福岡大学医学部卒業 1983年 熊本大学麻酔科入局 1986年 神奈川県立こども医療センター麻酔科・集中治療室 1988年 熊本大学付属病院救急部・集中治療部 助手 1994年 トロント小児病院PICU(文部省在外派遣研究員) 1997年 熊本赤十字病院 小児科 1998年 医療法人おがた会 おがた小児科内科医院開業 2000年 熊本小児在宅ケア・人工呼吸療法研究会 会長 2006年 熊本大学医学部小児発達学臨床教授
収録刊行物
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- 日本重症心身障害学会誌
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日本重症心身障害学会誌 39 (2), 220-220, 2014
日本重症心身障害学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390569634314738048
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- NII論文ID
- 130008044144
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- ISSN
- 24337307
- 13431439
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可