楽しく美しく着る

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抄録

衣服は、体温調節の補助に役立つばかりでなく、危険物質や自然環境から身体を保護したり、社会生活を円滑にすることによりコミュニケーションの手段ともなり、さらに、活力や楽しさを生み出すことができる機能がある。 第40回日本重症心身障害学会学術集会のファッションショーでは、国立病院機構南京都病院の協力を得て、着用者が美しく輝く衣服を提案する。モデルはファッションショーへの参加を希望なさり、家族の承諾も得ている方々であり、脳性麻痺や重度知的発達遅滞の症状を有する54歳、48歳、40歳の女性3名である。衣服製作に際し、ご本人や介護者との面談により、身体状況や日常生活状況のヒアリングを行い、衣服の好みや要望、ならびに、身体サイズを把握した。 以下に、モデルの方々の毎日の生活を紹介する。 モデルAは、大好きな歌手のCDやDVDの鑑賞や、家族からのプレゼントであるファッション雑誌を愛読しながら、毎日を楽しく過ごしている。ピンク色が好きというなおしゃれが大好きな方である。ウオーカーに乗って、時々、病棟内の散歩を楽しんでいる。 モデルBは、全盲で歩行可能であり、衣服の着脱も自力で可能である。幼少時より音楽に興味があり、絶対音感を持ち、聴いた曲は演奏できるという才能を有し、オルガンを演奏しているときが一番うれしそうである。肌触りの良いぬいぐるみと一緒に音楽を聴いたり、演奏をして過ごしている。 モデルCは、車椅子の自走が可能であり、普段は活動しやすい服装を着用している。いつも大好きな絵本とぬいぐるみを持ち、張り絵などの制作が得意で、お絵かきを楽しんでいる。理想の男性とデートをしたいというご希望がある。 ファッションショーでは、各モデルの希望を反映し、着用者が素敵に美しく輝き、生活を楽しくする着心地の良い衣服を提案する。 略歴 最終学歴:お茶の水女子大学大学院家政学研究科修了 博士(生活工学) 職  歴:日本大学専任講師、田中千代学園短期大学助教授を経て、1996年より日本女子大学教授 賞  罰:日本繊維機械学会学会賞受賞(1996年) その他:日本重症心身障害学会評議員     日本学術会議連携会員     経済産業省独立行政法人評価委員会委員 等

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  • CRID
    1390569634315570688
  • NII論文ID
    130008044145
  • DOI
    10.24635/jsmid.39.2_221
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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