P-2-E29 経管栄養施行中の利用者に対する味覚刺激への反応

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説明

はじめに 当施設では味覚刺激経験が少ない利用者にデザートなどを提供することがある。しかし、主観的な反応が乏しく、味覚刺激に対する快・不快が明確ではなかった。そこで、反応の乏しい重症児(者)が、私たちが提供する味覚刺激に対してどのように感じているのかを評価するため、自律神経活動に着目しアミラーゼ活性と心拍変動解析(以下、HRV)を指標として評価を行った。 対象と方法 対象:出生時より経口摂取の経験が少ない超重症心身障害児(者)2名、健常女性2名。 方法:味覚はうまみを味の素、あまみは棒付きキャンディーを使用。 1.HRVによる自律神経活動の解析 2.刺激前・中・後に唾液アミラーゼ値測定を実施 3.ビデオカメラの撮影記録から表情など主観的観察を実施。 結果 1.副交感神経活動は両群ともにうまみ・あまみ両味覚刺激において共通性がなく有意差はなかった。交換神経活動は両群ともに両味覚において刺激中に共通して上昇した。 2.アミラーゼ値では、重症児(者)はあまみ刺激で有意に上昇した。健常者ではうまみ刺激で有意に上昇した。 3.主観的観察から見た変化では重症児(者)1名は刺激中に表情の変化があったがもう1名に表情の変化はなかった。健常者2名は味の素(細粒)を美味しいと感じられなかった。 考察 味覚刺激によるアミラーゼ値の上昇は、重症児者においては硬い棒付きキャンディーを口腔内に挿入したことによる不快反応、健常者においては味の素が美味しいものではなかったとする反応と考えられた。HRVによる自律神経活動は個々のデータに共通性がなく味覚刺激による有意差が認められなかった。今回の研究方法による味覚刺激はHRVに変動を及ぼす刺激には至らなかった。しかし4名に共通してわずかながら交感神経を亢進させたことは活動性や覚醒度をあげる可能性があることが示唆された。

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