地域在住高齢者における一般介護予防事業の認知と社会関係の関連

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タイトル別名
  • RECOGNITION OF PREVENTIVE SERVICES FOR LONG-TERM FRAILTY AND SOCIAL RELATIONSHIPS AMONG COMMUNITY-DWELLING OLDER ADULTS
  • チイキ ザイジュウ コウレイシャ ニ オケル イッパンカイゴヨボウ ジギョウ ノ ニンチ ト シャカイ カンケイ ノ カンレン

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抄録

<p>目的:地域在住高齢者における一般介護予防事業の認知の実態とそれに対する社会関係の関連を明らかにすることである。</p><p>方法:神奈川県綾瀬市(以下,同市)の地域在住高齢者3,058名を対象にアンケート調査を実施し,1,899名から回答を得た。このうち要介護認定者等を除外した計1,798名を分析対象とした。調査は,基本属性として年齢,性別,居住形態,教育年数,暮らし向き,同市の7つの一般介護予防事業の認知の有無を尋ねた。また老年症候群としてIADLの状況,過去1年の転倒経験,うつ傾向,口腔機能,社会関係として社会的統合,ソーシャル・サポート,社会的凝集性を尋ねた。分析は,7事業で1つでも知っている場合を「認知あり」とし,一般介護予防事業の認知の有無を目的変数,社会関係を説明変数とするロジスティック回帰分析を実施した。</p><p>結果:対象者の年齢は平均75.14歳(標準偏差6.18)で,男性は46.5%であった。一般介護予防事業の「認知あり」は39.8%であった。多変量解析では,基本属性ならびに老年症候群の影響を考慮しても,自治会の活動,老人クラブの活動,趣味の会など仲間うちの活動,ボランティア活動の実施頻度が高いこと,地域住民の互酬性の規範が強いこと,地域住民との交流頻度が高いことが,一般介護予防事業の「認知あり」に有意に関連していた。</p><p>結論:自治会は行政連絡の伝達など行政を補助する役割を担っている。老人クラブは介護予防の活動を積極的に行う地域を基盤とした組織である。趣味の会は共通の趣味という結束性の強い集団と言える。ボランティアは活動の広がりにより社会貢献,福祉活動等への関心が高まると言われている。これら活動の特徴が一般介護予防事業の認知に影響していると推察された。また近隣住民の密なネットワークの中に健康情報を発信する人材が組み込まれていることで,一般介護予防事業の情報が広がることが示唆された。</p>

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