禁煙外来における漢方薬追加処方の効果

DOI
  • 野田 隆
    のだ小児科医院
  • 谷口 尚大郎
    公益財団法人宮崎県健康づくり協会 健康推進部、 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 血管代謝病態解析学分野

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タイトル別名
  • Addition of Herbal Medicines to Smoking Cessation treatment

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抄録

要 旨<br> 目的:ニコチン依存症の治療過程において生じた頭痛や嘔気・便秘等に対して漢方薬を併用した事例に関して、禁煙成功不成功に及ぼす要因を分析した。処方した漢方薬は、五苓散(頭痛や嘔気)、桃核承気湯及び 大建中湯(便秘)、抑肝散(頭痛やイライラや不眠)、麦門冬湯(咳嗽)であった。漢方薬が禁煙に効果があることは報告されてきたが、禁煙補助薬と漢方薬の併用と禁煙成功の関連の検討はほとんど例をみないが、禁煙成功率に著明な改善が見られたので報告する。<br> 対象と方法: [研究デザイン] 単施設における後ろ向き患者コホート研究. [対象] 平成20年4月26日から平成28年2月26日までの当院禁煙外来受診者179名 [主な要因] 禁煙外来における新規の漢方処方 [主要評価項目] 12週間後の禁煙成功率 [調整要因] 年齢, 性別, ブリンクマン指数, 受診回数, ニコチン依存度(FTND)<br> 結果: 禁煙成功は漢方薬使用群が28例中25例(89.3%)、漢方薬不使用群が151例中95例(62.9%)で、漢方あり群で有意に禁煙成功率が高かった(P=0.008)。多変量ロジスティック回帰分析では、再診回数が有意な関連を示し(P=0.000)、統計学的に有意ではなかったものの、漢方処方も禁煙成功と関連する傾向にあった(P=0.086)。<br> 考察: 今回の分析において、漢方薬併用群での治療成績が良好であったが、漢方薬の処方により通常よりも丁寧な診療を実施したことによる人間関係の構築が再診回数の増加につながって治療成績に影響したとも考えられる。今後例数が増えることにより、さらに漢方薬併用と禁煙成果の関連が明確になると期待される。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.11 (03), 1-5, 2017

    日本禁煙科学会

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