境界型人格障害の追跡結果と家族遺伝歴

  • 町沢 静夫
    国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部
  • 佐藤 寛之
    国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部

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説明

DSM-llI-Rに基づいて診断した64名の境界型人格障害の平均4年の病状経過を GAS (Global Assesment Scale)および我々が作った経過尺度で調べた。境界型人格障害 の病状経過はGASでは分裂病とほぼ同じレベルであった。我々の作成した経過尺度では分 裂病と境界型人格障害はほぽ同じ傾向にあった。しかし境界型人格障害は大うつ病,不安 障害よりも明らかに経過は不良であった。第一度親族の遺伝歴は「境界型人格障害の疑い」 の率が17.2%,大うつ病12.5%と高いものであった。しかし遺伝負因は幅広く,境界型人 格障害の遺伝的一貫性を主張するにはなお躊躇せざるを得ない。しかし他の精神障害を合 わせた遺伝負因全体は極めて多い(42.25%)。環境因としての家族の親子分離(15オまで) は10.9%,家族内混乱も28.l%と顕著に高い。また見捨てられ感が経過を悪くする要因と して認めれた。遺伝と環境の要因が共に重要であった。

収録刊行物

  • 精神保健研究

    精神保健研究 (4(通巻37)), 119-126, 1991-08-15

    国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

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