AI時代の雇用の流動化に備えよ
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- 大内 伸哉
- 神戸大学大学院法学研究科
説明
人工知能(AI)やロボット技術などの新技術の発達は、雇用の代替と創出を通じ、人材の再配置を加速させる。AI化時代に失業のリスクを回避するには、仕事の専門性や特定性を高め、職務型の働き方にシフトしていかざるを得ない。AI化が進むグローバル競争の下では、これまで配転権を用いて解雇を避けてきた日本企業も、従来の正社員制度や長期雇用を維持することは難しくなる。これは、雇用の流動化の進行が不可避となることを意味する。今後は、これまでのような特定企業の雇用維持を重視する政策ではなく、職業訓練の充実や、知的創造性を求める働き方に対応した労働時間制度などの政策を整備していくことが求められる。中でも、職業訓練の充実が重要だ。また、ICTの活用によって、働く場所と時間が自由になり、特定の企業との従属関係をもたない自営的就労を選択する者が増加する。このような働き方は労働法の適用外だが、今後の経済成長の重要な要素となるという点に鑑みれば、自助努力を基本理念としつつも経済的に自立できるよう、法体系を見直す必要がある。本稿で取り扱うこれらの政策は、これまでの労働法が目的としてきた労働者の保護という従来の枠にとどまらず、新たに取り組んでいくべき政策領域である。
収録刊行物
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- NIRAオピニオンペーパー
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NIRAオピニオンペーパー 27 (0), 1-6, 2016
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390569767952795008
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- NII論文ID
- 130008049631
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- ISSN
- 24362212
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可