当院における小児虫垂炎再燃症例の検討

  • 楯川 幸弘
    JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター小児外科

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タイトル別名
  • Clinical Analysis of Pediatric Appendicitis That Recurred After Conservative Therapy in Our Hospital
  • トウ イン ニ オケル ショウニ チュウスイエン サイネン ショウレイ ノ ケントウ

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抄録

<p>【目的】急性虫垂炎の中には,臨床症状や検査所見から保存的治療が行われる症例がある.しかしながら保存的治療にて沈静化したのちに腹痛などの症状が再度出現し,虫垂炎の再燃とみられる症例が散見される.今回当院で経験した小児虫垂炎再燃症例について再燃予測因子について検討した.</p><p>【方法】2014年4月から2019年12月まで,当院小児外科で虫垂炎と診断した135例において,手術例96例,再燃例11例,非手術例28例について後方視的に検討した.解析の分析はMann–Whitney U testおよびFisherの直接法による解析を用い,有意差をp<0.05とした.</p><p>【結果】①年齢:それぞれ2群間で有意差は認めなかった.②腹部所見:それぞれの2群間において,腹部所見は特異的な所見ではなかった.③熱発(38°C以上):手術例―再燃例間と手術例―非手術例間で,有意差を認めた.④白血球数:手術例―非手術例間と再発例―非手術例間でそれぞれ有意差を認めた.⑤CRP値:手術例―再燃例間と手術例―非手術例間でそれぞれ有意差を認め,手術例では高い傾向にあった.⑥糞石の有無:手術例―非手術例間に有意差を認めた.⑦虫垂短径の最大径(超音波,CT):それぞれ2群間で有意差を認めた.再燃例と非手術例に関して,虫垂径8 mmをカットオフ値とすると,虫垂径8 mm以上症例の割合が,再燃例で11例中6例(55%)であり,非手術例28例中5例(18%)に比べ,有意に高率であった.</p><p>【結論】初診時の画像所見で,虫垂短径の最大径が8 mm以上の場合に,臨床所見に乏しく保存的治療を先行し沈静化した後でも再燃の可能性があり,再燃後は積極的に手術を行うことが重要と考える.</p>

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