石川淳「義経」論

書誌事項

タイトル別名
  • Jun Ishikawa's “Yoshitsune” in the Age of Student Military Mobilization
  • 石川淳「義経」論 : 「学徒動員」を視座として
  • イシカワジュン 「 ヨシツネ 」 ロン : 「 ガクト ドウイン 」 オ シザ ト シテ
  • ―― 「学徒動員」を視座として ――

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抄録

<p>石川淳「義経」(昭和一九年七月)は、表現が厳しく抑圧されていた戦時下において、〈学徒出陣〉という極めて時局的な題材を取り上げた作品である。〈学徒兵讃歌〉として読める側面を持っているため、〈迎合的文章〉と見られることを嫌ってか、戦後、著者生前の刊本等に収録されることはなく、ほぼ忘れられた作品となっていた。しかしこの作品は、時局的な題材を取り上げ、〈迎合的文章〉の体裁をとることでアリバイを作りつつ、戦時下には直接描くことの困難であった、学徒兵のやり場のない思いや、その両親の悲しみや苦しみを、巧妙に描き込んでもいる。表現者にとって厳しい状況下において、多少なりとも表現の可能性を切り開こうとした、意欲的な創作として評価できる側面も持っていたのである。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 65 (6), 36-45, 2016-06-10

    日本文学協会

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